優しい心を育むカトリック教育

2017/02/07

Napoli Caffè sospeso

2017年2月7日(火)

 

行ってしまって逃げてしまって,去ってしまう三学期とはよく言ったものです。

 

時間のたつのがこんなに速いとは,毎年のように三学期は速いと自覚はしているが,この年になっても三学期は速く感じる。そんな時節柄「よくみれば 薺花さく 垣ねかな」芭蕉のような落ち着きも情緒も持ち合わすことができないこの頃だ。

 

前回の「コーヒーのプレゼント」は,ナポリが始まりだと論ずる方から知らせが届いた。イタリアだと言わないところが,ナポリっ子らしい。ナポリ特有の昔からの風習にCaffè Sospeso(カッフェ・ソスペーゾ)があると云う。ナポリ人は昔から困った人を見かけると手助けをしたくなる非常にあたたかい心を持っていて,カッフェ ソスペーゾ(保留コーヒー・恩送りコーヒー)は,このナポリ人の気質から生まれたものらしい。バールで次に来る人,または普段はエスプレッソをバールで飲めない人達のために,あらかじめ2杯分の料金を払ってそのうちの1杯をその人達のために使うように,バリスタにたのむのだそうだ。

 

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日本でもこの制度を取り入れている喫茶店があるとの情報も寄せられた。いずれにせよ,誰かのために役立っている自分であることは,誇れる行為だと思う。見知らぬだれかに,1杯のコーヒーを贈る。南イタリア・ナポリのカフェが100年ほど前に始めた「恩送りコーヒー」がいま、世界で静かなブームとなっている。気軽に参加できる善意のリレーは少しずつ形を変えながら、日本でも広がっているようだ。東京都世田谷区の「やなか珈琲店 下北沢店」に入ると,名刺ほどの大きさのカードが壁際にずらりと並ぶ。この「恩送りカード」を書き込むのは,コーヒーを12杯飲んでスタンプをためた客だ。1杯のコーヒーを贈りたい人の特徴をカードに書いて壁に張る。条件に合う人が代金を払わずに1杯ごちそうになり,同じカードにひと言感想をつづる。

「1杯分余計に払うだけでは,おごられる方も気まずい」。そう考えた店主は,コーヒーを贈りたい相手を指定するひと工夫を加えて始めると,あっという間に広まったらしい。何とも微笑ましい工夫だと思う。そのままを踏襲していくのか,一ひねりして現代社会に合わせていくのか,カード指定によってできたつながりは1千杯分になるという。予想外だったのは若い人たちがたくさん参加したこと。「アナログなカードを通して人と人がつながるのが,ネット世代に受けたのかもしれません」と店主は語っているそうだ。

 

みんなの心が温まる「しかけ」素敵ですね。最初だれが思いついたのだろう。

 

学校法人賢明学院 学院長 中原 道夫