優しい心を育むカトリック教育

2017/04/17

はんぶんこ

2017年4月17日(月)

 

昨日4月16日は,イエス・キリストの復活を祝う復活祭だった。復活祭のミサが終わると聖堂の出口で,復活祭の卵がみんなに配られる。子どもの頃この卵が欲しくて,当時二回行われていたミサ両方で侍者をして,卵を二つ手に入れていたものだ。子ども心にこの卵は,なにか特別のもので嬉しかった。

 

復活ミサの後,いつもの日曜日と違ったウキウキした雰囲気の教会のベンチに幼稚園児くらいの女の子が座り,向かい合わせのベビーカーの弟に話しかけている。「ちょっと待ってね」と言いながら,ぎこちない手つきで復活祭の卵の殻をむいている。きれいに絵付けされた卵は,フィルムプリントされているので悪戦苦闘の殻むきだ。やっとむけた卵を幼い弟ににっこり微笑んで「はい。はんぶんこ。」と言って二つに割って差し出した。どう見ても明らかに半分こというより大小が明確な割れ方だ。さあ,どうするのか? 私としては,興味深い光景だ。大きいほうを当然のように自分のものにするのか,それとも大きい方を弟に渡すのか。

 

すると「全部食べたら,お姉ちゃんのあげるね。」と言って,小さい方を弟に渡した。大人が想定していた分けかたとは違った。弟は,食べ終わったようだ。ベビーカーから小さな手が覗いた。女の子は早速自分の卵をさらに半分こして弟に差し出した。その時だった。弟の手に渡った瞬間,卵の「はんぶんこ」が手から滑って地面に落ちてしまった。

 

何とも言えない顔つきの女の子は,悩んだ末に自分の手に持っていた残り少ない卵を,さらに「はんぶんこ」した。しかし幼子の手つきでは,もはやボロボロ状態の「はんぶんこ」になってしまった。この様子を見ていたおじさんは,「はい,今度はおじちゃんとはんぶんこ」と思わず言ってしまい,復活祭の卵をこの女の子に手渡した。「はんぶんこ」の心の爽やかな風がほほをなでてくれた。

 

gakuintyo-20170417

 

マタイ福音書18章1~4

そのとき、弟子たちがイエスのもとにきて言った、「いったい、天国ではだれがいちばん偉いのですか」
すると、イエスは幼な子を呼び寄せ、彼らのまん中に立たせて言われた、
「よく聞きなさい。心をいれかえて幼な子のようにならなければ、天国にはいることはできないであろう。
この幼な子のように自分を低くする者が、天国でいちばん偉いのである」

 

布施とは施しを与えることを喜びとし,困った時には助け合い,お互いが「仕合せ」に生きていけるように心がけること。

「無財の七施」
1、優しい眼差しで人に接し、温かみを与える (眼 施)
2、にこやかな顔で接する          (和顔施)
3、やさしい言葉で接する          (愛語施)
4、自分の身体でできることを奉仕する    (身 施)
5、相手の為に心をくばる          (心 施)
6、席や場所を譲る             (床座施)
7、風や雨を凌ぐところを人に与える     (房舎施)

 

「きょうだいで はんぶんこ」誰しも子どものとき,親から教えられたはずですね。

親から教えられた事を,もう一度思い出して生きていきたいと,決意しました。

 

学校法人賢明学院 学院長 中原 道夫