優しい心を育むカトリック教育

2017/07/10

たなばた

 

2017年7月10日 

 

竹笹に願いを書いてつるす習わしは,私たちが子どものときからあった。自分が子どものときに体験したことを,今の子どもたちが体験しているのを見ると,何故か懐かしく郷愁がこみ上げてくる。

 

七夕の思い出で印象に残っているのは,中学一年生のときの七夕だ。四つ年上の先輩と二人で,仙台の築館市に住む大先輩を訪ねたときのことだ。大阪から夜行の急行に乗り,東京上野駅で東北本線に乗り継いで仙台に向かう,二晩かけた旅だった。東京まではすでに新幹線が開通していたのに,何故夜行列車でしかも急行を利用したのか記憶は定かではないが,この年頃の私たちには,電車を乗り継ぐ事が,楽しかったのかもしれない。

 

そのとき初めて見た,仙台の七夕飾りの大きさと美しさに圧倒されたのを,今でも覚えている。

 

この時点まで自分の世界では,七夕は昔から行われている日本のお祭りであり,毎年77日の夜に,願いごとを書いた色とりどりの短冊や飾りを笹の葉につるし,星にお祈りをするという事しか理解していなかった。かわいい小さな行事程度の思いだった。ところが大先輩に誘われ,バスに乗って仙台市内へ出かけ,商店街の上部に目を向けると,天井からつるされている飾りが目に入り,その大きさ,またその色や形のきらびやかさに驚愕した。幼い頃から慣れ親しんできた,短冊に願いを書いて竹笹につるしていたものとは訳が違った。

 

数メートルもある飾りがつるされている様は圧巻だ。しかも七夕祭りが八月に行われているという,地方によって違いがある事を知る良い機会だった。

 

今頃になって,七夕はいったいいつ頃から,どのようにして始まったのか気になって,ちょっと調べてみた。その起源にはいくつかの説があるが,もともと日本の神事であった「棚機(たなばた)」と,織り姫と彦星の伝説と,奈良時代に中国から伝来した「乞巧奠(きこうでん)」という行事があわさったものであるという説を見つけた。学術的に調べたり,歴史をたどったりすると,趣のなくなる事があるので,天の川を眺めながら,今年の七夕の夜は,織り姫と彦星は会えるかなと案じている方がロマンチックで夢があるのではないかとも思う。夜空に天の川が見えて,一年に一回の出会いが成就したと思ったとき,願いをかけた地上の私たちも嬉しくはなりませんか。

 

最近,夜空の状況で天の川をはっきり見る事ができないから,七夕を想像の世界の話と思っている子どもも多いが,目に見えなくても実在するものは実在しているのですよ。

 

gakuintyo-20170710

 

七夕を見えないものとの出会いができる機会と考えるのも,夏の夜の粋ではありませんか。

 

Darkness cannot drive out darkness; only light can do that.

 Hate cannot drive out hate; only love can do that.

闇で闇を追い払う事はできない。光のみがそれをなしうる。

憎しみで憎しみを追い払うことはできない。ただ愛のみがそれをなしうる。

 

 Martin Luther King, Jr.(マーティン・ルーサー・キング・ジュニア)

生誕  1929115

帰天  196844

ジョージア州アトランタでバプテスト派牧師マイケル・ルーサー・キングの息子として生まれる。

アメリカ合衆国のプロテスタントバプテスト派の牧師。キング牧師の名で知られ、アフリカ系アメリカ人公民権運動の指導者として活動した。「I Have a Dream」(私には夢がある)で知られる有名な演説を行った人物。1964年のノーベル平和賞受賞者。2004年の議会名誉黄金勲章受章者。アメリカの人種差別(特にアフリカ系アメリカ人に対する差別)の歴史を語る上で重要な人物の一人。

 

学校法人賢明学院 学院長 中原 道夫