優しい心を育むカトリック教育

2017/09/26

彼岸

お彼岸の食べ物といえば,「・・・・」

 

もち米を炊いて五分つきほどにして丸めた餅(団子)を,あんこ,きな粉,ゴマ,青のりなどで包み,彼岸の日に食べる。今は,年中手に入れることのできる食べ物だが,習わしの日に食べるそれは,ちょっと味が違うような気がする。

 

「ぼたもち」と「おはぎ」は,見た目は同じように見えるし,作り方も味も一緒だと思うのだが,いったいこの二つはどこがどのように違うのだろう。漢字では,それぞれ「牡丹餅(ぼたもち)」,「お萩(はぎ)」と書く。

 

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和菓子作りの職人さん曰く,春のお彼岸の頃には「牡丹(ぼたん)」の花が咲き,秋のお彼岸の頃には「萩(はぎ)」の花が咲くことに由来していると言う。「牡丹」の花は,大きな花だから「牡丹餅」は大きめに,「萩」は小さな花なので「お萩」は小ぶりに,作られるようになったそうだ。でも私は,大きさに違いがあったとは,今まで気が付かなかった。

 

「ぼたもち」と「おはぎ」は,基本的には同じ食べ物だが,食べる季節が違うため,名前を変えて呼ぶようになったらしい。そしてあんこに使われる“あずき”は、古くから悪いものを追いはらう効果があるとされてきた。春は種を蒔く季節で,作物の成長を願う秋は,食物の収穫の時である。この時期に“あずき”を使った食べ物を食べたり,ご先祖さまに感謝したりすることは,自然への感謝や祈りとも深く結びついているのだろう。自然を暮らしの中に取り入れ,例えば季節の花の名を食べ物の呼び方や形に使ったりして,ご先祖の供養を行ってきたのだ。こうした『習わし』を残していくことが,文化の伝承になるのではないだろうか。

 

最新の物を生活に取り入れるとき,先人たちが自然を基に教えてきたことも変わらずに伝えていく姿勢が,デジタル化の世界で,情報化の世界で,GLOBAL化を具体的に示していくことではないだろうか。何もかも基準に合わせたり,一律に標準化したりするのではなく,今まで培ってきたことや,守ってきた習わしを受け継いだ園児・児童・生徒を育てていきたい。

 

自らの民族が大切にしてきたことを知るからこそ,他の民族が大切にしていることを理解できるようになり,国際的理解力が育つと確信している。みんな違っていても,みんな先祖を大切にしているという共通認識が,国際理解教育の目指すところだ。

 

William Jamesウィリアム・ジェームズ 米国の哲学者、心理学者 の言葉

生誕  1842111

帰天  1910826

 

『一生の最もすぐれた使い方は,それより長く残るもののために費やすことだ』

『今世紀における最大の発見は,人間は心構えを変えることによって,その人生を変えることができる ということである』

 

William Jamesは,アメリカ合衆国の哲学者,心理学者である。意識の流れの理論を提唱

し,『ユリシーズ』など、アメリカ文学にも影響を与えた。パースやデューイと並ぶプラ

グマティストの代表者として知られている。

著作は哲学のみならず心理学や生理学など多岐に及んでいる。アメリカを代表する心理学

者であり哲学者である彼は,「行動」を重要視した名言は,「成功」や「幸福」と結びつけ

て語られることが多い。

 

学校法人賢明学院 学院長 中原 道夫