優しい心を育むカトリック教育

2017/11/01

新車323系

1976年の春から20余年もの間,環状線天王寺駅から京橋駅まで,毎日のように往復利用していた。その頃は環状線に関して,よくわかっていると自負していたのだが,最近久しぶりに環状線を利用する機会があって,大変驚いたことがあった。馴染みのレンガ色でなくアルミ製の新車輌が,目の前のホームに入線してきたのだ。そのとき新車だという嬉しさと「へえーっ変わってしまったんだ」という哀愁に包まれた。自分の年齢を考えると,すべてのものが新しくなっていって当然なのに,その新しさが目前に来ると,正直戸惑ってしまう。車窓から見える風景も,随分変わった。煉瓦とコンクリートの残骸だらけだった場所が,超高層ビル群と都市公園で構成された再開発地域OBPと呼ばれているのだ。車窓からは,新宿のような都会の景色がみえる,私には以前から地元の人たちに呼ばれている,弁天島(べんてんじま)という名のほうがしっくりくるのだが・・・。

 

京橋を出ると,外回りの次の駅は大阪城公園駅だが,学生時代にこの駅はなかった。大阪城の博覧会開催に合わせて,1983101日に森ノ宮駅 と 京橋駅間に,JRではなく国鉄の駅として誕生したことを覚えている。

 

当時,京橋から森ノ宮間には大阪砲兵工廠跡がまだ残っていて,なんとなく第二次世界大戦当時を,思い出させる建物が残骸として残っていた。砲兵工廠を覗かれないようにという理由で,森之宮と京橋間は高架ではなく地面の上を走っていた。今もその名残は残っている。そういえば子どもの頃は城東線と言っていたものだ。環状線と呼ぶようになったのは,きっと線路がうまく繋がって,環状するようになってからだろう。

 

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東京から帰阪する度,大阪に帰ってきたと感じられたのは,この環状線の煉瓦色の車体を見た時であった。それが今,いかにも新時代の電車ですというデザインになった。嬉しくもあるが,哀愁も感じてしまうのは,時代が過ぎていくことを,心の奥底で実感するからだろう。

 

人は心が愉快であれば   終日歩んでも嫌になることはないが、

心に憂いがあれば   わずか一里でも嫌になる。

人生の行路もこれと同様で、   

人は常に明るく愉快な心をもって

人生の行路を歩まねばならぬ。

 

William Shakespeare  ウィリアム・シェイクスピア 

(英国の劇作家、詩人 / 15641616

 

イングランドの劇作家詩人でありイギリス・ルネサンス演劇を代表する人物。卓越した人間観察眼からなる内面の心理描写により,最も優れた英文学の作家と言われている。膨大な著作は,初期近代英語の実態を知る上での貴重な言語学的資料ともなっている。

 

1612年ごろに引退するまでの約20年間に,四大悲劇「ハムレット」「マクベス」「オセロ」「リア王」をはじめ「ロミオとジュリエット」「ヴェニスの商人」「夏の夜の夢」「ジュリアス・シーザー」など多くの傑作を残した。

 

学校法人賢明学院 学院長 中原 道夫