優しい心を育むカトリック教育

2017/11/09

四立

今年の立冬は117日。暦の上では,冬の始まりだ。この日から立春の前日の節分までが冬の季節となる。

 

「立」には新しい季節になるという意味があり,立春・立夏・立秋・立冬の四立(しりゅう)は,季節の大きな節目と言われている。立冬を迎える頃から朝夕は冷えこみ,日中の陽射しも弱まって来て,冬が近いことを感じさせる。本学院の落葉樹の木々は葉を落とし始め,学院隣の公園の木々も紅葉が進み始めて,秋から冬への装いを整えつつある。

 

寒さを感じるようになったこの頃,園児・児童・生徒の服も,完全に冬の制服へと移行した。遠くから車や,また自転車の後ろに乗って登園してくる園児,お母さんと手をつないで登園してくる園児,お母さんと一緒の登園,お父さんと一緒の登園,おじい様やおばあ様と一緒の登園,登園の姿は個々様々だが「賢明」が大切に感じている登園の光景である。このひととき,子どもたちは保護者や親族と共に過ごしながら,自分を守ってくれている大人と一緒にいる事で,大切にされている事や愛されている事を実感して,育っていくと思われる。

 

朝の光景では,二人が無言で歩いている姿はない。何かしら子どもたちに話しかけ,幼い子がまなざしを大人に向けて答えている。大人の目線と子どもの目線が,温かく繋がっている。車の中での会話や,歩きながらの会話などは、ほんのわずかな時間での事だが,幼子と共にいる時間は人間性を陶冶する,二度と体験できない大切な時間だと感じる。

 

 寒い時期に,この光景を温かく感じるのは不思議だが,それは親子二人が共にいる光景のなか,同じ風や空気を同レベルで体験しているからではないだろうか。共通の体験から親子の関係がさらに深まり,登園風景を眺めている私に,その関係が伝わって来ているのだと思う。通園バスの中では作り出せない親子の時間を持つ事が,子育てには大切だと感じている。親が子どもの為に時間を費やす事,この事は愛の一つの実践だ。親子だから当たり前の行為と言う方もおられるだろうが,自分の時間を持つ事が時代のTRENDとなっている今だからこそ,親子が一緒にいる時間はより大切だと思う。

 

「立」という季節の始まりであり変わり目である今,教師としての子育て,親としての子育て,祖父母としての子育てを再確認したい。

 

gakuintyo-20171107-01

 

・乳児は肌を離すな

・幼児は肌を離して手を離すな

・少年は手を離して目を離すな

・青年は目を離して心を離すな

 

Children Learn What They Liveインディアンの教え 一部抜粋

 

励まされて育った子は、自信を持つようになります。

寛大な家庭で育った子は、我慢することを学びます。

ほめられて育った子は、 感謝することを学びます。

心から受け入れられて育った子は、 愛することを学びます。

認められて育った子は、自分が好きになります。

子どものなしとげたことを認めてあげれば、目的を持つことの素晴らしさを学びます。

分かち合う家庭で育った子は、思いやりを学びます。

正直な家庭で育った子は、誠実であることの大切さを学びます。

公明正大な家庭で育った子は、正義を学びます。

やさしさと、思いやりのある家庭で育った子は、他人を尊敬することを学びます。

安心できる家庭で育った子は、自らを信じ、人をも信じられるようになります。

和気あいあいとした家庭で育った子は、この世の中はいいところだと思えるようになります。

Dorothy Law Nolte

親として教育者としてめざすのは,この子たちが大人になった時,一人で行くときです。大人になったときに,自分が愛されて育ってきたことに気付く人間に育てたいものです。心は決して離さないで接していくことが大切だと言えるのです。

 

お勧めの本

『アメリカインディアンに学ぶ子育ての原点』 

エベリン・フォルフソン著  北山耕平訳

 

学校法人賢明学院 学院長 中原 道夫