優しい心を育むカトリック教育

2018/12/21

Santa Luciaのお祝い 13日

Christmasが間近に迫った13日,この日は,ヨーロッパの子どもたちが楽しみにしている日だ。

 

北欧のルチアのお祝い日には,一家の中で年長の少女が聖ルチアに扮し,白いドレスを着て冠を被り,ロウソクを手に持ち,ナポリ民謡『サンタルチア』のメロディーと共に,部屋に入ってくる。彼女は,クリスマス・キャロルや,ルチアの歌を歌いながら,コーヒーと「Lussekatt(ルチアの小型ロールパン)」を両親のもとへ運ぶ。カトリック国でない国々に,カトリックの聖人のお祝いの行事が伝わり,その日に家族や親戚が集まって,静かに祝われる。

 

 

Santa Luciaは,イタリアのトレンティーノ・ロンバルディア・ヴェローナ・エミリアの各地方で,サンタクロースのように,良い子には贈り物を,悪い子には石炭をくれるという聖人として,子どもたちに人気がある聖人だ。

 

ルチアの記念日にプレゼントを交換する風習は,1930年に始まり,ヨーロッパのカトリック国に広がって行った。今でも,子どもたちは手紙に欲しいプレゼントの名称を書き,教会の聖ルチアの像の下にその手紙を置きに行くという風習が残っている。12月12日の夜になると,子どもたちは,ルチアに捧げる食べ物を用意する。オレンジ,クッキー,赤ワイン,そしてルチアが贈り物を運ぶ手助けをするロバには干し草を用意する。12月13日の朝,ルチアに捧げた食べ物はすべてなくなり,子どもたちには,お菓子や欲しかった物がプレゼントとして届けられる。クリスマス前の,何ともほのぼのとしたこの習慣がイタリアから始まり,カトリック国でない北欧の国に,今でも継承されている。Christmas当日に,プレゼントを交換するより,ご公現の祝日(16)に,プレゼントを交換する習慣が強いカトリック国では,この13日は子どもたちにとって特別の日である。ルチアの為に,そしてロバの為に,プレゼントを用意する。この行為によって,プレゼントを互いに交換することが自然と身につく良い習慣だと思う。もらうことや,してもらって当然ではなく,自分も誰かにプレゼントするのだという習慣は,見習いたいものだ。

 

※12月13日は聖ルチアおとめ殉教者の記念日 (304年殉教)

 ルチアは,イタリア,シシリア島シラクサ(Syracuse)の裕福な家に生まれ,信仰深い両親のもとで育てられた。父の死後,母の健康がすぐれなかったため,母とともにカタニアの聖アガタ(シシリア島の殉教者)の墓に巡礼し,母の病が癒された。この奇跡をきっかけに,ルチアは生涯を神にささげる決意をし,自分の財産を貧しい人びとに与えた。以前ルチアとの縁談があり,彼女に好意を寄せていた青年はそのことを知って怒り,彼女がキリスト教徒であることを訴えた。当時は,ローマ皇帝ディオクレチアヌスのキリスト教迫害下にあり,すぐに彼女は捕えられ,信仰を貫き通したために殉教した。

 

※シラクサは,有名な数学者であるアルキメデスが生まれ育った町。

太宰治の短編小説「走れメロス」の舞台ともなっている。

 

サンタルチア Santa Lucia

Sul mare luccica, l'astro d'argento   Placida e` l'onda prospero il vento

Venite all'agile barchetta mia   Santa Lucia! Santa Lucia!

 

輝く海 輝く星空   波は穏やかに、風は軽やかに

私の小舟よ 軽快に進め  聖ルチア! 聖ルチア!

 

学校法人賢明学院 学院長 中原 道夫