優しい心を育むカトリック教育

2017/12/07

大売出し Christmas version Ⅱ

Black Friday』という言葉が今,ニュースの話題になっています。もともとアメリカのバーゲンセールの事ですが,ついに日本にも導入されたようです。商売はとことん利益を追求することが目的だから,消費者が飛びつく仕掛けは,次々と演出されて当然です。品物を安く購入出来るのは消費者にとってはありがたいことですが,これだけ価格を下げても利益があるのだから,いったい原価はいくらなのかと,普段の価格のつけられ方に,騙されているような気になるのもこの季節です。アメリカのセールは,11月の第四木曜日「サンクスギビング」の翌日から始まります。特にサンクスギビングの翌日は特別で,深夜や早朝から様々なお店で盛大なセールが行われ,この日を境にお店が赤字から黒字に変わるという意味合いから,「ブラックフライデー」と,呼ばれるようになりました。namingの由来は,フィラデルフィアの新聞が,小売業者が儲かり黒字になるという解釈を発表したことにより,「ブラックフライデー」となったそうです。

 

毎年,11月第3木曜日に解禁される葡萄酒の新酒ボージョレー・ヌヴォー (仏:Beaujolais nouveau)も,以前はその年のブドウの出来栄えをチェックすることを主な目的としたものでしたが,今は日本の至る所で,ワインの解禁日を待って販売されています。このようなワインの新酒売り出しやブラックフライデーなど,日本にいながらにして,海外の様々な雰囲気に触れることが出来るようになったのも,新たな風を取り込めていいことだと解釈すれば,楽しめる風物です。

 

Christmasも,海外の風物を日本に取り入れた商戦の一つなのでしょうか。12月に入り,コマーシャル等もクリスマスの雰囲気となり,クリスマスケーキ・クリスマスセール・クリスマスプレゼント等は,各メーカーの商戦の一翼を担っています。このようなクリスマスを意図したセールが無くなれば,商品流通が悪化し,世界の経済は打撃を受けるのでしょう。先日,テレビで放映していた街頭インタビューの中で,「クリスマスって,なんの日ですか?」と言う質問に,「ケーキの日」,「恋人に告白する日」,「プレゼント交換日」と回答していた若者たちを見て,Christmasってプレゼントを貰える日だけなのではないという真意を,伝えていきたいと思いました。

 

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日本語の「クリスマス」は英語の「Christ(キリスト)のmass(ミサ)」に由来しています。日本語では他に,「降誕祭」,「聖誕祭」,「聖夜」などの呼び方があります。

 

ドイツ語は「Weihnachten(ヴァイナハテン)」,フランス語は「Noël(ノエル)」,スペイン語は「Navidad(ナビダー)」,ラテン語は「Christi Natalis(クリスティ・ナタリス)」,ギリシア語では「Χριστούγεννα(クリストゥ・ゲナ)」。

 

教会では、クリスマス(降誕祭)の4つ前の日曜日から、クリスマスを準備する期間に入ります。カトリックでは、この期間を「待降節」と呼んでいます。クリスマスはキリストの誕生です。神のひとり子キリストの誕生を思い起こす日として古代から祝われてきました。

 

イエスがいつ生まれたか、聖書には何も書いてありません。1225日がイエスの誕生の日とする最古の記録は、4世紀のローマの「殉教者帰天日表」です。

 

「キリスト」は救い主への称号であるので,キリスト教の初期においては,イエスを「イエス・キリスト」と呼ぶことは,「イエスがキリストであることを信じる」という信仰告白そのものであったと考えられます。

 

いつから,ヨーロッパのクリスマスは、1225日に祝われるようになったのでしょうか?

 

ローマ帝国内では、太陽崇拝が広く行われていました。 ローマ暦では1225日が冬至で,この日を太陽誕生の祝日として祝っていたそうです。教会はこの祭日を取り入れ,「正義の太陽」であるキリストの誕生の日として祝うようになったそうです。

 

 

学校法人賢明学院 学院長 中原 道夫