優しい心を育むカトリック教育

2018/06/04

夏の日

イギリス王家の結婚式の際,聖堂でSTAND BY MEがゴスペル調で歌われた。ほとんどの人が,耳にしたことのある曲だ。流れる曲を聴いて,往年の映画を思い出した人が,多かったのではないだろうか。主題歌は,1961年にリリースされ大ヒットした,ベン・E・キングの名曲だ。

 

映画は,少年たちが夏休みに,冒険を試みるStoryだ。映画の中で,リバー演じるクリスという貧しい家庭に育つ少年が,冒険をしている途中の夜に,親友の少年だけに自分の胸にある秘密を告白するシーンが,印象深い。給食費を盗んだ犯人にされた挙げ句,実はその金で教師が自分の服を買っていたことを知って,泣き崩れる場面だ。信じていた大人に裏切られた少年の心情が,痛いほど伝わってきた。1980年代後半に見た映画だが,さまざまのシーンから,少年の心の動きが伝わってきた。どこまでも延びている線路のシーンは,未知の遠い世界へ繋がっているように思えて,ただそこをどこまでも歩いてみたい好奇心に駆られる気持ち,何かを見つけてそれで英雄になりたい気持ち等,そんな心情が映像と共に,心に残った。

 

 

映画は,作家として成功し,妻子ある家庭を持つゴーディ(リチャード・ドレイファス)が,新聞記事で少年時代の親友クリスの死を知るところから始まる。そして彼は,あの頃を思い出す。1959年の,暑い夏の日のことを・・・。ゴーディ,クリス,テディ,バーンの4人は,線路づたいに歩き出す。毛布をひもで縛って肩に担ぎ,夜は焚き火をしながら,夜通し語り合う。たった二日間の旅だったが,仲間といることの楽しさ・裏切られた辛さ・逃げ出したくなるような辛さの経験が,画面から伝わって来る。少年たちの仲間意識を感じる心温まる場面が続き,その中で作り話を聞かせてみんなを楽しませる場面や,大人に裏切られた告白をして,「誰も俺のことを知らない土地へ行きたい」と涙する場面など,少年たちの繊細な心が手に取るように伝わる。一人目覚めたゴーディが,野性の鹿と遭遇したことを,自分だけの秘密にする場面もある。そっと胸にしまっておく少年の素のままの心情が伝わってくる。

 

ラストシーンも,印象的だ。「こんなことじゃ,駄目なんだよ」と,ゴーディは何かを悟る。クリスは,「書く材料に困ったら,いつか俺たちのことを書けばいい」と,小説家希望のゴーディに言い残して,去って行く。

それ以来,仲間たちと会うことはなかったが,作家となった大人のゴーディには,このたった2日間の経験が特別なものであること,そして12歳の時の仲間たちとは,もう二度と逢えないことを心に刻んだ。

 

STAND BY ME

 

夜の闇が辺りを覆って

月明かりしかなくたって  僕は怖くない

 

見上げる空が落ちてきて

山が崩れて海に沈んでも  僕は泣かないよ

 

君がそばにいてくれるなら

いつもそばにいておくれ

 

学校法人賢明学院 学院長 中原 道夫