2018/08/07
2018年6月14日から7月15日までの約一か月の間,ロシアで開催された,第21回目の≪2018 FIFA World Cup≫は,フランスが優勝した。連日の熱戦に,ついつい夜更かしした日が続いたが,今はワールドカップ熱も徐々に冷めつつある状態になっている。
私は試合の判定に,映像の力がAI機能と一体化して利用されていた事が,気になった。ルールに基づいて,ゲームをするのは,これからは選手ではなく人口知能が主体者となり,選手は単なる駒の一つになっていくのではないだろうか。選手の能力とコンディションや精神力,巧緻性等々の,選手の全ての情報が入力され,対戦相手との比較から,出場の選手が決められていくのではないだろうかと,危惧の念を持った。更には,ゲームをしなくても,情報処理で勝敗が決定してしまうのではないだろうかとも気になる。AI発展の想像は,人間無視に繋がっていくのだろうか。
「Artificial Intelligence」も,やるべき事と,辞めるべき事の,分別ができるようになって欲しいし,インテリジェンスらしく控えることも,学習しておいて欲しいと思う。
2016年,コンピューターが囲碁で世界一になったと,報じられた事を覚えている。その快挙は「AI(人工知能)」や「Deep Learning(深層学習)」というキーワードと共に,世界中のメディアで報じられた。DeepMindが開発した囲碁AI「AlphaGo(アルファ碁)」が,囲碁世界のチャンピオンのイ・セドル氏(韓国)を,破ったのだ。一年後の2017年10月18日には,最新の囲碁AI「AlphaGo Zero(アルファ碁ゼロ)」が,開発された。さらに最新版の「AlphaGo Zero」は,囲碁のルールを覚えた上で,自己学習(強化学習)のみで,棋力を高めていく事ができる。この方法は「打ち筋」というデータベースを必要とせず,自己対局を繰り返し,それを積み上げていく事により,3日で「AlphaGo」に100戦全勝,そして「AlphaGo」の改良版である「Alpha Master」に,100戦89勝するまで成長したそうだ。私は,自己学習するAIの素晴らしさに驚嘆すると同時に,コンピューターに人間がコントロールされていくSF映画の場面を思い出し,ある種の恐怖心をいだいてしまった。
人間の知能とは,いったい何のために必要なのだろうか。スポーツはなぜ誕生し,人々に好まれるように発展したのだろうか。根源的な問題を減給する姿勢を忘れてしまっては,正確さと便利さが,この世界を支配する律法になってしまうのあろうか。炎天下,体力をつけるために走り,汗で泥まみれになりながらも,強くなりたいがために,ボールを追いかけた古の日々は,無意味と評価されていくのだろうか。
AIとは,「Artificial Intelligence」頭文字を取った言葉で,日本語では「人工知能」と訳される。一般的な解釈として,「人工的に人間の知能を模倣するための概念および技術」だが,今では,「人間のように“学習”し,知識をもとに“推測”する」ことが求められている。スマートフォンの音声認識や,障害物を避ける自動運転,インターネットの画像検索やウェブページ検索,産業分野のロボットなど,さまざまな場所にAI(人工知能)が活用されている。
『スポーツの基本は美しさと豪快さだと思う。
これはどんなことがあっても守られなければならない。』
ドラガン・ストイコビッチ( Dragan Stojković、1965年3月3日生まれ )
セルビア(旧ユーゴスラビア)・ニシュ出身の元サッカー選手、現在はサッカー指導者。
Jリーグの名古屋グランパスに入団。
華麗で豪快なサッカースタイルを持ち、ピクシー(妖精)と称えられた。
学校法人賢明学院 学院長 中原 道夫