優しい心を育むカトリック教育

2018/09/04

継続と努力

熱中症警戒の為に,予定していた夏休み中の行事予定を,すべて中止せざるを得ない事態に陥った今年の一学期末だった。8月に入ってからも気温は体温以上に上昇し,猛暑どころではない厳しい暑さに見舞われた。その上台風が連続して発生し,今までの常識が通用しないコースを進む現象が起こったりして,思いもかけない被害が多くの場所で発生した,異例の夏と言えたのではないだろうか。そろそろ夏も過ぎ行く頃になってきたが,この辛さを感じた暑さは,今年だけの異例であって欲しい。

 

(継続は力なり)

 

小学校の二学期は,12月21日まで約三か月の長期に及ぶ。きっと気候も徐々に過ごしやすくなり,さまざまな活動に適した季節となってくると期待している。快適な季節だからこそ,子どもたちには,継続することを,習慣にして欲しいと願っている。

 

二学期の三か月間を90日として考えて,一日に英語の単語を三つ覚えると,270単語覚えられることになる。漢字であれば,270字覚えられる。一日で270字を覚えることは不可能に近いが,日々少しずつ積み重ねることで,270は可能な数となる。「敗北は最悪の失敗ではない。やろうとしなかったことが本当の失敗だ。」という格言が示すように,「実践する二学期,挑戦する二学期,そして継続する二学期」にしていって欲しいと願っている。

 

まだ若かりし頃,同僚と比叡山に赴いた時に,1000日間の修行を終えた高僧から,「山を走り下り,また登ってくる毎日の修業は苦痛ではありません。雨の日も,雪の日も,嵐の日も毎日続けることが一番の修行なのです。小さなことでよいのです。続けることが修行です」と諭されたことを思い出す。今までの経験から,続けることほど難しいことはないと,私は思う。続けられずに失敗してしまったことは,正直今までにたくさんある。しかし,続けられたことは身になり力になり,人生の軸になっていると私は信じることができる。

 

 

二学期は,児童に継続することの大切さを伝えたいと思っている。また,考える事がいかに大切かを体験できる機会も,多く設けたいと計画している。与えられた事だけをこなす受動的な児童ではなく,自ら考え,そこから計画し,行動する「自主・自立・自律」の熟成のときに,二学期はしていきたいと計画している。

 

(努力とは)

 

夏の甲子園では,高校野球が100回記念大会として開催された。選手の身体能力や技術があまりにも進化していることに驚かされたが,小学校時代から少年野球チームに所属し,エースで4番として活躍し,二度甲子園に出場したものの,初戦敗退に終わった一人の選手のことを思い出した。それまで投手として活躍していたが,交通事故による怪我が原因で,投手から野手に転向し,高校三年間,通算打率51厘という驚異の数字を残した選手がいた。1991年,オリックスに入団。2001年に,野手としては日本人初のメジャーリーガーとしてシアトル・マリナーズへ移籍し,10年連続200安打などの数々の記録を打ち立てた選手だ。天才と言われている彼の言葉が,継続すること努力することの大切さを教えていると思う。

 

『努力せずに何かできるようになる人のことを「天才」というのなら,僕はそうじゃない。

努力した結果,何かができるようになる人のことを「天才」というのなら,僕はそうだと思う。

人が僕のことを,努力もせずに打てるんだと思うなら,それは間違いです。』

― イチロー ―

 

学校法人賢明学院 学院長 中原 道夫