優しい心を育むカトリック教育

2018/09/21

教育活動 幼稚園 【2】

賢明学院幼稚園では,子どもの内発的な発達プログラムに基づいて,「おしごと」の時間を設けています。 それぞれの「おしごと」には,独特の体系を持つ教具が用意されていますが,子どもは必ずしもそのカリキュラムに従って活動するわけではありません。あくまでも子どもの自主性が尊重され,プログラムに子どもたちを従わせるようなことはしません。保育者は,子どもたちに動機付けをしますが,この動機付けは一種類ではなく何種類も考えられていて,一人ひとりに合った言葉や見本などを用意して,子どもたち自身がやってみようとするきっかけを,提供し続けます。

 

 

自主的な「おしごと」の時間だからこそ,子どもたちは安心して,自由に個別活動ができるのです。年齢や月齢ごとに子どもたちの興味の対象が,次々と移り変わります。この行動は集中力がないのではなく,今興味があることを発見している活発な活動のときなのです。この興味の転移を賢明学院では大切にして,日々の保育に取り組んでいます。脳生理学に基づく,さまざまな能力の獲得には,それぞれ最適な時期があると結論付けられていて,その適切な時期を「敏感期」と称しています。この字のごとく,子どもたちの学習過程においては,大人以上に敏感に物事を察知し,違いに気づき,頭の中に疑問が次々湧いてくるのです。そしてこのときは,脳がすべてを吸収しているときでもあります。

 

(1)敏感期には,「運動の敏感期」「感覚の敏感期」「秩序の敏感期」「話し言葉の敏感期」「文字に対する敏感期」「数に対する敏感期」「文化の敏感期」などがあります。子どもたちの「自由」の保証と,「敏感期」を育むことを,園での教育の大きな特徴としています。つまり子どもたちは,集団で同じことをするのではなく,自分で自分の活動を選び,自分のリズム(時間)で納得いくまで繰り返し活動するのです。

 

⇒自分で活動を選んだ子どもの目の輝きは,心眼となります。

 

(2)子どもたちが,自発的な活動に好きなだけ取り組むことを尊重します。周囲の大人は,この知的好奇心が自発的に現れるように,発達段階に適した環境を整えることが大切です。そのためには,子どもが自分で自由に教具を選べる環境を作り,やってみたいと思わせる魅力的な教具を揃えます。保育者は,子どもが自ら成長しようとするのを手伝う「援助者」として,接することが大切です。

 

⇒やってみたいことを見つけ,とことん取り組んで集中している姿は、神々しく見えます。

 

(3)教室は,社会的・知的協調心を促すため,3年()の幅を持つ異年齢混合クラスも編成します。このクラスの中で,子どもたちはお互い同士学び合います。年下の子どもは,年上の子どもの活動を見ることから学び,年上の子どもは,年下の子どもの世話をすることや,彼らたちに教えることから,優しさを学びます。

 

⇒人を思いやる優しさや,真似て学ぶ新鮮な空気が,教室にあふれます。

優しさは,文字では学ぶことは出来ません。人と人の繋がりが優しさとなります。

 

学校法人賢明学院 学院長 中原 道夫