優しい心を育むカトリック教育

2018/11/01

死者の月

誰にでも訪れる死,この現実を自らのうちに迎え入れることについて思い巡らす為に,11月を死者の月と意識して,過ごしてみたい。人類が初めて月面に立った時から,人間を取り巻く機器は,光陰矢のごとしという如く進歩したが,この進歩の先には,何があるのだろうか。そして,どこまで進歩していくのだろうか。機器の進歩は著しいが,人間としての基本的社会の構造は,進歩したのだろうか。いじめや,無責任なネットへの書き込みは,人類の進歩と言えるのだろうか。いったい人類は,これからどこに向かっていくのだろう。世界の将来は,どこに向かっているのだろうか。また私たち人類は,どんな世界を夢見ているのだろうか。

 

カトリック教会では,11月2日は亡くなったすべての人を思い起こし,死者のための祈りを共にすることになっている。現在の「死者の日」の起源は,998年にフランスのベネディクト会のクリュニー修道院で,11月2日を帰天した全ての信徒の為の記念日と定めたことに,起源をもつ。この世を去った全ての人々の為に祈りながら,私たちは,死者の中から「復活された御子キリストに従う私たちの信仰を強め,死者の復活を待つ,私たちの希望を不動のものとしてください」と祈る。

 

聖書「知恵の書」1~5章は,知恵と人の行く末について書かれている。亡くなった人たちはどこにいるのかという問いかけに,誰がこれに答えるのだろうか。全ての人が死ぬことについて,知恵の書の著者は悪人の口を借りて,神を認めない人の考えを描写する。そして次に,2章21節から反論を開始する。

 

「主により頼む人は真理を悟り,信じる人は主の愛のうちに,主と共に生きる」と,知恵の書は告げる。

戦争の悲劇を学んだ賢明学院の小学校の6年生は,沖縄で祈りを捧げた。この祈りの中に,真の人類の進歩の鍵があるのではないだろうかと思える。

 

 

「共同祈願」

太平洋戦争末期の1945年に,沖縄諸島に上陸したアメリカ軍とイギリス軍を主体とする連合国軍と,日本軍との間で行われた沖縄戦で,死者・行方不明者合わせて,28万2136名が犠牲となられ,尊い命が奪われました。神様,今は平和というものが普通ですが,昔は戦争や紛争がたくさんあり,今も続いているところがあります。このことを忘れずに,平和に暮らせることができますように。

賢明学院小学校 六年 武井莉奈

 

【祈願】  

沖縄の戦争で,多くの人が亡くなり,日本全土が悲しみに包まれました。この大きな悲しみや苦しみが二度と世界で繰り返されませんように。そして,平和が訪れますように。また,今自分たちのできることを考え,仲間を大切にし,これからも共に進んでいくことができますように。

賢明学院小学校 六年 佐野 颯紀

 

【全員】  主よ,私たちの祈りを聞き入れてください。

 

【祈願】 

神様,第二次世界大戦の沖縄での地上戦で,たくさんの笑顔と命が奪われました。戦争が終わっても,食べ物がなく死んでしまった人,けがが悪化して死んでしまった人。たくさんの,尊い命がなくなっていきました。神様,お亡くなりになられた人には,永遠の安らぎを,家族などの人がお亡くなりになられて,心が傷ついてしまった人には,どうか心の傷をいやしてください。このようなことが,世界から一刻も早くなくなりますように。

賢明学院小学校 六年 安井愛華

 

【全員】  主よ,私たちの祈りを聞き入れてください。

 

学校法人賢明学院 学院長 中原 道夫