2019/01/11
毎年1月1日に,平和に関する教皇メッセージが発表される。今年のメッセージは,52回目となる。
教皇パウロ六世が1968年1月1日,ベトナム戦争が激化するなか,平和のために特別な祈りをささげるよう呼びかけられたのが,メッセージの最初であった。それ以来,全世界のカトリック教会は,毎年1月1日を「世界平和の日」とし,戦争や分裂,憎しみや飢餓などのない平和な世界が来るようにと祈っている。
政治問題も重要だが,家庭の中に,クラスの中に,平和が構築されていなければ,世界の平和は単なる題目に過ぎないと,言えるのではないだろうか。
「この家に平和があるように」イエスは弟子たちを宣教へと派遣するにあたり,彼らに告げました。「どこかの家に入ったら,まず,『この家に平和があるように』と言いなさい。平和の子がそこにいるなら,あなたがたの願う平和はその人にとどまる。もし,いなければ,その平和はあなたがたに戻ってくる」(ルカ10章5~6節)。平和をもたらすことは,キリストの弟子の使命の核心です。そしてその相手は,人類の歴史に刻まれた悲劇と暴力のただ中で、平和を願い求めるすべての人です。イエスのことばにある「家」とは,それぞれの個性と歴史をもつ各家庭,各共同体,各国、各大陸であり,なによりもまず一人ひとりの人間です。だれも分け隔てされたり,差別されたりすることはありません。それはまた,わたしたちの「共通の家」,すなわち神がわたしたちを住まわせてくださり,心を配って大切にするよう求めておられるこの地球でもあります。したがって新年を迎えるにあたり,わたしも祈りたいと思います。「この家に平和があるように」。
世界平和の日(1月1日)メッセージから引用
今,自分に何が出来るか,何を成すべきかという課題は,平和を考える私たちに常に課せられる課題である。
こんなとき,南米に伝わる短編をいつも思い出す。私にできることを,今始めるべきだ。今するべきだと。
小さなことでも始めなければ,変化は起こらない。続けなければ変化は成立しない。
『ハチドリのひとしずく いま,私にできること』
森が燃えていました 森の生きものたちは われ先にと 逃げて いきました
でもクリキンディという名の ハチドリだけは いったりきたり
くちばしで水のしずくを一滴ずつ運んでは 火の上に落としていきます
動物たちがそれを見て 「そんなことをして,いったい何になるんだ」といって笑います
クリキンディは,こう答えました
「私は,私にできることをしているだけ」
(監修・辻信一 光文社 2005年初版より)
学校法人賢明学院 学院長 中原 道夫