優しい心を育むカトリック教育

2019/04/05

さくら

 

「桜咲く」という文の電報があったなどと言うと,若者はきょとんとした顔をする。合格通知や出願もWEB時代になって,電報は忘れ去られた存在になった。今や電報と言えば,学校関係では,入学式・卒業式程度でしか使われなくなった。そして昨今は,メールで届く入学のお祝いもある。式においては添付を開いて印刷し,デザインの粋をこらした文面を掲示したり,披露したりする事が,一般的になった。入学試験に合格した事を「桜咲く」と表現し,たった五文字で喜びを伝えたのは,遠い昔話となった。

 

その後,ポケベル時代になり,数字の語呂合わせで内容を伝えるようにもなった。今はスマホ時代になり,写真も同時に送信する事が出来るようになり,時には動画と音声が送信され,その場に一緒にいるような臨場感あふれた情報が瞬時に伝わって来る。情報は,何処にいても得る事が可能になり,その現場にいる本人と,ほぼ同時に体感出来るようになった。科学の進歩は,素晴らしいものだと感じる。

 

「桜咲く」の電報が活躍したのは,1956年(昭和31年)にまで溯るらしい。この当時,地方の学生が東京の大学を受験した場合,試験を受けに東京へ行く事はしても,合否を確認する為に発表当日,大学まで足を運ぶ人は,少なかったそうだ。そこで本人に通知する方法として大学が行ったのが,「合格電報」だったと言われている。合格ならば「サクラ サク(桜 咲く)」,不合格ならば「サクラ チル(桜 散る)」というのを,大学では一般的に電文として使ったそうだ。

 

合格の文句、サクラ以外のいろいろ

 

●お茶の水女子大学   合格は「オチャカオル(お茶香る)」。不合格は「コノメドキマテ(木の芽時待て)」

●東京商船大学(現・東京海洋大学)  合格は「トラトラトラ」。不合格は「チンボツ(沈没)」。

●日本女子大学   合格は「メジロダイニサクラサク(目白台に桜咲く)」。

●北海道大学   合格は「エルムハマネク(エルムは招く)」。

不合格は「ツガルカイキョウ ナミタカシ(津軽海峡 波高し)」。

【エルム】 1950年より1961年まで日本国有鉄道(国鉄)が室蘭駅~札幌駅間を運行した準急列車「エルム」 → すずらん
1969年より1971年まで国鉄が函館駅~札幌駅間を運行した特別急行列車「エルム」 → 北斗

 

学校法人賢明学院 学院長 中原 道夫