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お知らせ

2023/01/31

AP成果発表会【関西学院大学特進サイエンスコース高校3年生】

2023年1月27日金曜日の午後、賢明学院高校3年E組の生徒たちによる初めてのAP成果発表会がリヴィエ・ホールのアリーナにおいて、同級生、在校生、教員、保護者など多くの方々の前で開催されました。

 


関西学院大学理系4学部への特別入試を終え、受験した18名、全員の合格通知書を手にした後のことでした。前半では建築研究室から5グループ、工学研究室から2グループ、後半では生物環境研究室から3グループ、数理物理学研究室から4グループの合計14グループが成果発表を行いました。メンバーで協力したグループ発表や、ひとりでの発表など、スタイルは様々でしたが、どれも大変聞きごたえのあるものでした。






関西学院大学理系4学部との提携が結ばれ、同時にこの賢明学院中学高等学校関西学院特進サイエンスコース創設とともにAP授業が始まりました。全くのゼロからのスタートに担当者の授業開発の苦労は並大抵のものではなかったはずです。しかし、これまでの授業の中ではできなかった「サイエンスの面白さ」を展開することができる新たな理系教育への思いを成就できると熱き思いにかられたこともあるでしょう。受講する生徒と、それを導く教員たちが作り上げていったAP授業をみんなの前で披露伝達できたことは本当に有意義なことでした。


 
 
 

限られた時間での発表でしたが、司会者によりこれまでのAP授業での苦労話が紹介されるなど、それぞれが工夫して会衆に伝えていました。審査委員の一人を務めましたが、分野が違えば発表の内容も大きく違い、採点の甲乙つけがたさに大変苦労しました。その中でも全審査員の評価が特に高かった3グループに最優秀、優秀賞が授与されました。

 
 
 


最優秀に選ばれたのは生命環境研究室の有田芽生さんが発表した「玄米からの米づくりは可能か」でした。実際に発芽、苗づくりから田植えを経て稲刈り、脱穀と農業の一端を実際に実行しながら丁寧に考察を加えてまとめ上げた素晴らしい発表でした。



優秀賞にはこれに続く2グループが本当に僅差で選ばれました。一つは数理物理学研究室の梶原叶夢君の「数値解析によるカタストロフィ誘因型ポテンシャルを持つ階層ロジスティック方程式の例示と安定平衡点の推定」です。表題を理解することも難しいテーマを明確な表現力で堂々と会衆に伝えた素晴らしい発表でした。



もう一つは生命環境研究室の富森暖君の「金魚の成長と日光の関係」でした。生き物を実験材料に使う難しさの中に、金魚への愛をこめて理科的にアプローチを行い、金魚にストレスをできるだけ与えないように工夫、配慮しながら根気強く実験し、考察していてとても感心させられました。



表彰された3グループ以外もそれぞれ面白い興味ある発表を聞かせてくれ、約2時間に及ぶ発表でしたが、最後までわくわくしながら聞かせてもらうことができました。忘れてはならないのはこの発表に至るまで様々な努力があったことです。ドローンを遠隔操作するためにはプログラム言語を習得する必要がありました。テーマとした数式を使いこなすには通常授業で履修した微分・積分の領域を超えて微積分学を学び、微分方程式を導入できるように努力していました。また、様々な先行研究を調査し、関連する事項を詳細にリサーチしています。建築学部研究室では実験に使うモデルを3Dプリンターや手作りで製作し、煙発生の実験では教室中を火災報知器に感知されないように工夫しながらその経過を動画撮影していました。あの6分の発表に籠められた思いは本当に大きかったと想像しています。関西学院大学特進サイエンスコースの皆さん、本当によくがんばりました。

 
 

発表を聞いていた在校生には中学生も含まれていましたが、普段勉強している教科が基礎となっていることにあらためて気が付いたものと思います。それは数学や理科だけでなく、発表するには国語や英語、製作するには美術や技術家庭などあらゆる教科がその土台となっているのです。単にテストのため、入試のためにとどまらず、その先をみせてくれた発表者の皆さんに敬意を表します。最後になりましたが、このAP授業を導き構築させてくださった担当の先生方に心から厚く感謝申し上げます。AP授業はまだ産声を上げたばかりです。今、NHK大河ドラマでは「どうする家康」が放映され、松本潤が演じる徳川家康が毎回「どうする?どうする?」と悩みながらドラマが進行しています。この賢明学院でのAPの取組が、やがて家康が神君となり徳川300年の安定した時代を作りあげたように賢明学院での新たな礎へと成長していくことを願っています。

校長 石森圭一

 

 

2023年度 第2回AP成果発表会の様子はこちら(2024.1.26)

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