優しい心を育むカトリック教育

お知らせ

2025/06/20

【第2回 トークセッション】

司会 賢明学院小学校には色々な先生がいて、色々なことを大切にしたり、様々な子どもたちとの関わり方を持つ先生方がいます。6年間たくさんの先生が関わって育てていくことが賢明のいいところだと思っています。今日は先生方の思いや大事にしていること、ポリシーなどを教えてほしいです。違っていれば違っているほど、子どもたちにとっていいことなので是非たくさん教えてくださいね。

溝本 いつか 教諭

現在6年A組担任 学年主任 国語科

委員会・児童会 主任

大原 晴貴 教諭

現在 5年生 副担任

宗教科 ICT教育 GIGAスクール 主任

阪井 博紀 教諭

現在5年A組担任 学年主任 国語科

生活指導 主任

 学校の先生になろうと思ったきっかけ

阪井 僕は中学校の先生との出会いが大きかったです。中学で陸上部に入っていたんですけど、練習するときは常に何も考えずに練習して、出されたことを淡々とするだけでした。要するに顧問の先生の言われた事が全てと思って練習していたんですね。だから、先生の指導のおかげで個人として成長できました。そこで、先生の一言で勇気をもらったり、子どもたちに夢や希望を与えることは素敵な仕事だなと思い、先生になろうと思いました。「どんな先生になろうかな?」と思ったときに、本当は世界史が好きだったので世界史の先生になりたいと思っていました。でもとにかく子どもたちに影響を与えられるような先生になりたいと思いました。

溝本 初めて聞いた!

大原 いいですね!世界史が好きなことも初めて知りました!

溝本 いつもクイズ出してきますもんね!

阪井 はい。世界史のことになると永遠に話せます!

溝本 私は小学校の先生の時から小学校の先生になりたいと思っていました。最初のきっかけは担任の先生に憧れたからです。そこから先生っていいなと思いました。私は素敵な先生に恵まれて小学校生活を過ごしてきました。そのまま何となく小学校の先生が夢でずっと過ごしてきて、はっきりなろうと決めたのは大学生の時にボランティアの活動をしていた時です。ボランティアの1つで自分の出身の小学校でお手伝いをすることになっていました。そこで病気で体が半分動かない子と出会い、この出会いこそが決定的な理由でした。その子は結局亡くなってしまいましたが、そんな状況と分かっていてもすごく笑顔で周りの子に明るく接していて、私に対してもポジティブな声をかけてくれる子でした。このように子どもでも大きな力を持っていることを知り、そんな子どもたちとたくさん出会える仕事って素敵だなと思い、先生になりました。

大原 僕は子どものころ、すごく否定的で、学校があまり好きじゃなかったんです。

全員 今のイメージと真逆!

大原 今考えてみればいい先生と会っていたんだと思います。自分が反抗的だっただけなのかな?笑 認めてくれる先生とあまり会えなかったのかもしれません。先生になろうと思ったのは、高校の情報科の臨時教員として働いていた時です。子どもたちとの関わりや教えることの楽しさを知ることができたからです。

どっちかというと先生になってからさらにやりがいを感じました。この件については、この後で…。

司会 to be continueということで!

 

 賢明学院小学校での1番の思い出

溝本 やっぱり思い出すのは54期生との4年間です。自分が4年間同じ子と過ごすということは今後おそらくないだろうなと思います。54期生と何もわからないなりに一緒に頑張ってきたことが今の自分の芯になっています。特に体育大会!これだけはすごく覚えています。毎年、体育大会の時には54期生の演技の映像を見直して、「あの時こんなことあったな。」とか、めちゃめちゃ怒鳴ったこともあったし、怒鳴る榎本先生の後ろで慰めたこともあったし、そういう日々が思い出されますね。

阪井 僕は2つあります。まずは、今担任している62期生ですね。1年生から3年生まで担任して、初めて3年間見続けたんです。1年生の時は、頭をなでながら「がんばったねー!」とか抱っこしてあげてたんですね。でも3年生になったら急にみんな離れていくようになったんですよ!特に女の子は。「なんかちょっといややな…。」みたいな感じで。それで「男の先生って苦労するんやな…。」と思いました。そして当時の校長先生からは「もうこの子たちとは持ち上がることはないからね。」と言われたんです。だから3年生の最後に「きっともうみんなとはないからね!」と涙ながらお別れしたんです。でも蓋開けてみたらまた戻ってきていました。5年生になって、みんな本当に大きくなっていましたね。男子は相変わらず面白いことをするのが好きで楽しいんですけど、女の子はどういう風に関わるべきかいまだに悩んでいます。毎日毎日、試行錯誤中です。

 もう1つは初任の時の藤井シスターとの出会いです。1年目は5年生の担任だったんですが、なかなかうまくいかなかったんです。でもシスターが「先生のことは子どももみんなもわかっているからね!」と言って下さったんです。シスターってどんな時も気持ちが落ち着いていて、何事にも動じない印象があります。「いつも靴を整えていたら学級経営はうまくいくからね!」と言われてから今に至るまでずっと靴の整理整頓は徹底しています。子どもたちの環境づくりは大切ですね。

大原 僕も2つあります。1つ目は、僕が担任を持った今いる学年は61期生です。彼らが卒業すると(担任していた学年は)もういないんですね。だからこそ、低学年で担任することの良さを今とても感じています。1年生を担任してから6年生で社会を教えていて、成長を感じられることがとてもいいなと思います。

 もう1つは59期生の修学旅行の時です。アザレアというトルコライスを出してくれるレストランでの食前のお祈りのことなんですけど。その前に浦上天主堂で西神父様のもと、ミサに与っていたんです。このミサもとてもいいミサでした。そこで泣くんだったら分かるんですけど、なぜかアザレアでの食前の祈りを一緒に唱えていたときに涙が出てきたんです。

溝本 えっ⁉そんなことあったんですか?知らなかったです 笑

大原 「こんなことってあるんだな。」とびっくりました。

 

 個別の関わりの中で思い出に残っていること

大原 僕は今でも年賀状をくれる人がいるんですが、その子の担任をしていた時に児童のお母さんから「母として子どもとどう関わるべきですか?」というご相談をいただきました。その時、「たとえ我々教員と意見が違っても、子どもをずっと信じてあげてください。」と言いまして、今でもあのお言葉がとてもよかったと言っていただけるのは嬉しいですね。

司会 今の子どもを見ていて、「昔のぼくやな」と思う子はいますか?

大原 めっちゃいますよ 笑 だいたい先生に怒られている子は自分に似ていると思います。ちょっと外れたことをする子の気持ちがわかります。

阪井 どっちかという自分の教師像は「あかんことは叱って」という感じだったのですが、色々な子どもとの出会いで、その時に応じた的確な言葉かけができる「寄り添うタイプ」の先生になりたいという思いに変わりました。

溝本 色々な児童との関わりの中で、私たちは「こうしたい!」という思いがあるじゃないですか。でもどうしてもそこからはみ出る子もいるし、それを許容できるようになってきました。本当に色んな子がいるなと思います。自分の枠を決めちゃっていたところもあったけど、その枠を取っ払うようになってきました。

59期生は、54期生を卒業させた後に持った学年なんですね。その時は2年生でしたが、そこで出会った子たちが、6年生になって友達や先生の言葉を全部吸収して成長していく姿に感動しました。すごい嬉しかったですね。

司会 教師冥利に尽きますね。

 

 学年主任や教科主任、副担任として心掛けていること

大原 副担任としてあまり前に出過ぎないことを心掛けています。担任がされることについていきサポートしています。自分が大切にしていることは、基本的には自己肯定感を高めることを大切にしています。できるだけ否定せずに「あなたのことを大切にしているよ!」という思いを伝えています。自分自身の失敗も含めて、大切にするってどういうことかを常に考え続けています。

司会 担任から外れて、副担任の立場になるとみんなをおじいちゃん的な目で見ることもあるよね。

阪井 僕は2つ大切にしています。1つ目は、僕はマイナス思考な考えなんですが。ある本で「努力をしたからといって全部が報われるとは限らない。」と書かれていたんですね。だからどちらかというと、もう少し適当になろうかなと思ってます。緊張感を持って毎日仕事しているので、基本的には静かに仕事をしているのですが、あまり多くを語らない方が考えてもらえると思うので、その考えを尊重して、子どもとも大人とも互いに敬意を払って関わるように努めています。

 もう1つは、継続は力なりです。中学の時の顧問からずっと言われていて、それからずっと頭の中で「継続は力なり」「継続は力なり」「継続は力なり」「継続は力なり」と考えているとどんどんしんどくなってきました…。今の僕のホットワードは「備えあれば憂いなし」です。急な対応があっても臨機応変に対応する力って大事ですよね。なので、1週間分のことは事前にしっかり決めています。余裕を持って過ごしていきたいですね。

溝本 ひろき先生っぽいですね 笑

溝本 私は役割分担!これは私の口癖です 笑 学年経営なので学年団で見ていますよね。確かに今は主任という立場をいただいていますけど、先生方それぞれに色々なカラーがあります。無理して自分のカラーを変えてその人自身の軸を変えてしようと思えば、あらゆる所でひずみが出ると思います。だから、軸は一緒だけどやり方はそれぞれ変えたらいいと思っています。例えば榎本先生と持っていた時はサポート役に徹して、森内先生と持った時は私がビシッ!と言う役割だし、その役割分担は意識していますね。あとは軸をブラさない!これって決めたことや一本筋の考えた軸は絶対に妥協しないことに決めています。「軸をブラさないようにしましょう!」というのは学年団に伝えています。

大原 その子にあったやり方はあると思います。許せる軸をしっかり持っておくことは大切ですよね。

司会 「この先生はこんなことを大切にしている。」「あの先生はまた違ったことを大切にしている。」など、色々な先生と出会うことも大切ですよね。大人になってから自分で取捨選択したらいいと思います。

 

 教師生活の中で大切にしていること

司会 まずは私から!段取りや健康、公平性など大切にしているけど、一番大切にしているのは遊び心です。何するにも、何かちょっとやってみたいとか仕掛けていく気持ちを大切にしています。

溝本 私は子どもの背中を押すだけにすることを大切にしています。「やってみたらいいやん!」というのをできるだけたくさん言うようにしています。クラスの中で振り返りノートで「こうしたらいいのにな…。」と書いている子には「じゃあ言ってみたら?」と後押しします。終わりの会での発言をしようか迷っている子もそうですね。児童会選挙や学級委員の立候補でもそうですが、小さいことから大きな役割が就くことまで、どんどん「やってみたらいいいやん!」と言うようにしています。最近は森内先生にも言っています。笑 私自身も中高時代に生徒会をしていて、全然うまくいかないこともあったけど、今この立場になってやってみないとわからないことや失敗から学ぶことも成功より多いと思っています。だから、背中を押すことを大切にしています。

大原 いいなぁ。いい言葉を持ってはるから素敵ですね。

阪井 学校の先生として最高ですね。

阪井 できるだけみんな一人ひとりが素晴らしい才能を持っていると考えて接しています。なので、一人ひとり尊敬できると思っています。それは子どもも大人もそうです。相手に尊敬の念を持っています。

あとは永遠の課題なんですけど、心の余裕を持つようにしたいです。これさえできたら、色んな仕事もはかどるし、想像力も豊かになるし、最高な循環が生まれると思っています。だからぜひ、心の余裕の持ち方を教えてほしいです。

 

大原 やっぱり1週間の計画は事前にすることじゃないですか。

溝本 私はオンオフをめっちゃ分けています。ずっとオンにしていたらしんどくなるし、考え過ぎたら負のループに入ります。

阪井 僕はずっと仕事が趣味みたいになっています。電車の中でもやるくらいなので。余裕を持つためにしている仕事が余裕を潰しているのかもしれませんね。笑

大原 夜帰ったら仕事はしないですね。朝はするけど。大原 僕は色眼鏡で人は見ないようにしています。人の嫌なところを見つけてしまったら、人のいいところを10個見つけることは決めています。とにかく人格を否定にしないようにしています。

子どもたちにはどんな学習にもどんどん取り組んでいけるように計画をしていきたいし、系統立てて指導したいと思っています。専科の担当になってから、色んな学年を担当して、担任の先生の力を改めて感じました。だからこそ、教科指導をどの学年・クラスでも平等にできるように系統性を大切にしています。

 

 賢明っ子に伝えたいこと

大原 「あなたは愛されています。」ですね。これだけたくさんの愛を神さまや保護者の皆さんから受けているのだから、何歳になってもチャンスがあり、リスタートできると思います。あとはいつも卒業文集に書くのですけど、「どんな夢を持っても、何回も夢が変わっても大丈夫だよ。」と伝えたいです。

溝本 自分のやりたいという意思を持ってどんどんチャレンジしてほしいです。やってみてわかることはたくさんあるので、どんどん失敗して色んなこと学んでほしいです。もう1つは、教師をしていない人とよく話すんですけど、この仕事は話題に事欠かないなと改めて思います。私たちって、子どもの楽しい話を職員室ですることもありますよね。「今日こんな面白いことあってん!」とかいつも職員室で言うじゃないですか。そういう話題をいつも提供してくれてありがとうと思います。笑

全員 分かるわかる!

阪井 先生たちを飛び越えてほしいです。これからの変化の激しい時代を生き抜くためには、先生の言われたことだけにとどまっていてはいけないと思っています。だから、先生に教えてもらったことをもとにして、いい意味で先生たちを飛び越える存在になってほしいと思います。賢明の子たちは時代にあった生き方を自分で考えて見つける子たちになれると思うので。

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