優しい心を育むカトリック教育

2017/03/31

Mārtius 弥生

2017年3月31日(金)

 

ラテン語でプルス・ウルトラと書かれた熨斗のかかった贈り物が届いた。プルス・ウルトラはウルトラマンの家族でも兄弟でもない。年度末の励ましであり,激励の「喝」と受け取った。「一ってしまって,二げてしまって,今、三ろうとしているサンガツ(Mārtius)」 仕事を処理することに焦っている今,毎日毎日仕事がたまっていく今,Plus Ultraの言葉に力づけられた。

 

人に心を届ける方法に言葉がある。言葉を解した時その人の温かさと思いがすべてを包み込んで,励ましてくれる。長々しい励ましの言葉など不要かもしれない。洒落たことをなさる方だ。

 

この言葉は,ラテン語を学ぶ一年生の教科書に出てくる。大学でラテン語は必須科目であったが,私はラテン語コースより英語コースを選んで一年間しかラテン語を学んでいない。それでも週に四時間のラテン語の授業はきつかった。授業では,単語の変化とことわざ・格言を覚えることに苦労した苦い思い出がある。しかしそのおかげで,いくつかの格言が今も記憶に残っている。『Anima Sana In Corpore Sano』(アシックス)もその時覚えた言葉であり,プルス・ウルトラも学生時代を思い出させてくれる言葉である。どちらの言葉にもあの時の若々しさを取り戻せそうな響きがあり,私にとっては素敵な贈り物と感じられる。

 

もっと先へ, もっと向こうへ, 更なる前進」をしなさいと,背中を押す力がこの言葉にはあるが,猛進することが善ではないと諭す意味もある言葉だ。

 

いつも心にかけてくださっているからこそ,贈り物にこの言葉が添えられているのだろう。この方は人に思いを寄せ無関心でないから,洒落た言葉を届けられるのだろう。

そして受け取り手には,贈り手の想いが静かに届くシンクロナイズsynchronizeし一致が生まれたといえる。私もこの贈り手のように精進しなければならないと感じた。

 

Plus Ultraは、スペインの国のモットーにも採用されている言葉だ。国旗と国章にはヘラクレスの柱と共にこの銘文が刻まれている。情熱の国らしい前向きなモットーであり,力強さと勇気をもたらす言葉であると言えるだろう。

 

gakuintyo-20170331

 

そしてPlus Ultraと同時に,この言葉も届いた気がする。

A goal without a plan is just a wish.」 計画のない目標は、ただの願い事にすぎない。

 

アントワーヌ・マリー・ジャン=バティスト・ロジェ・ド・サン=テグジュペリ

Antoine Marie Jean-Baptiste Roger, comte de Saint-Exupéry

誕生:1900629

帰天:1944731

「星の王子様」の作者,フランスの作家、操縦士。

郵便輸送のためのパイロットとして、欧州-南米間の飛行航路開拓などにも携わった。

彼の名言・格言には「ものごと」「愛」「生命」「歩み」などの想いが込められている。

 

学校法人賢明学院 学院長 中原 道夫