優しい心を育むカトリック教育

2017/09/07

Salve regina

 

2017年9月7日 

 

Kさんあなたの質問にお答えします。

 

「先生あの歌なんでした?」フランスの聖地ルルドの研修旅行に参加した卒業生から,問い合わせがあった。

あの歌と言われても・・・・・。「日本語だった?」「あめのきさき?かな」「違います」「英語でもないし・・・・」なぜ卒業してからルルドで歌われた聖歌を思い出したのか,真意は不明だが何かあるたびに,この聖歌のメロディーを思い出すという。そこで私の知りえるすべての聖歌の題を伝えたが,すべて卒業生の記憶とは違った。

 

今年の夏,久しぶりに訪問したルルドでのロウソク行列に参加した時,あの卒業生の質問を思い出し,順番に歌われる十数か国の聖歌を傾聴していた。そして,これだと確信した。きっとそうだと,確信できた。その歌は,サルヴェ・レジナ(ラテン語: Salve regina)に違いない。カトリック教会の聖務日課の「終課」で歌われる聖歌だ。サルヴェ・レジナは,カトリック教会独自の伝統的な祈祷文で,日本のカトリック教会では「元后あわれみの母」という名で親しまれてきている。

 

ロウソク行列が終わった最後に,この聖歌を全世界の人々が歌う。歌い終わると国籍を超えて,民族を超えて,隣の人同士,また前後の人同士,全ての人が「平和」の挨拶を交わす。握手もあれば,Hugもあるし,頬を合わせる挨拶もある。見ず知らずの人々とこんなに親しく,そして微笑みをもって挨拶した経験は,記憶から決して消えないのだろう。彼女はこの時の感動を今もたびたび思い出し,この聖歌のことが知りたいと,問い合わせをしてきたのだそうだ。

 

gakuintyo-20170907

 

「元后あわれみの母」

Salve regina, mater misericordiae:

vita, dulcedo, et spes nostra, salve.

Ad te clamamus, exules, filii Hevae.

Ad te suspiramus, gementes et flentes,

in hac lacrimarum valle.

 

Eia ergo, advocata nostra,

illos tuos misericordes oculos ad nos converte.

Et Jesum, benedictum fructum ventris tui.

nobis post hoc exsilium ostende.

O clemens: O pia:

O dulcis virgo Maria.

 

日本語訳文

元后あわれみの母われらのいのち、喜び、希望。旅路からあなたに叫ぶエバの子。

嘆きながら泣きながらも涙の谷にあなたを慕う。

われらのために執り成す方。

あわれみの目をわれらに注ぎ、とうといあなたの子イエスを旅路の果てに示してください。

おお、いつくしみ、恵みあふれる喜びのおとめマリア。

『カトリック教会のカテキズム 要約(コンペンディウム)』より引用

 

学校法人賢明学院 学院長 中原 道夫