優しい心を育むカトリック教育

2016/11/30

じかん

2016年11月30日(水)

じかん

 

「時間を返してほしい」よく聞く言葉です。

人と揉め事が起こったり,自分の気持ちが裏切られたときに,ついつい口にしてしまう言葉です。この言葉には,恨みが込められているようで怨念を感じてしまいますが,自分の想いが裏切られたときに,つい口に出る言葉なのでしょう。この言葉の深層には,自分の時間をささげた事実があるから,時間を返せという思いがあるのでしょうが,時間をささげる前から,対価を求めていた行為なのでしょうか。決してそうではなかったはずです。

 

当初は,打算や偽善は自分の想いの中にはなかったはずです。それなのに返せという言葉になり,返せという思いが募るのは,時間というものがいかに大切でかけがえのないものであるかということを物語っていると言えるのではないでしょうか。時間をささげる行為は,本来無償であったはずです。時間は,個人が持つ唯一の物であり,どのように使うかは自己責任です。それを人の為に使うことは,尊い行為だと確信しています。この尊い行為を,誰しも意識せずに毎日の生活の中で行っていると思います。私の時間を与え尽くす,そんな人になりたいとは思いませんか。返せと言わずに,与え尽くす行為を大切にしたいと思います。そして,マザー・テレサのように与え尽くす人物になりたいと思っています。

 

「忙しい,忙しい。」「時間がないのを解っていますか?」と苦言を呈してくださる方がおられます。誰しもこのように思い感じることがあり,私もそのように思い感じている時がありました。そんな時,フランスのモラリストラ・ブリュイエール(フランスのモラリスト、作家 / 1645~1696)の言葉に出会いました。

 

『時間の使い方の最も下手なものが、まずその短さについて苦情を言う。』

 

この言葉に出会って以来、忙しいという言葉を口にするのを避けるように心がけています。だって,忙しいと言ってしまう事は,心を滅ぼす行為だと思い始めたからです。

 

マザー・テレサ(修道者名Mother Teresa)のことば

◎読書する時間を持ちなさい。親しくなるための時間を持ちなさい。働く時間を持ちなさい。
 それは知識のわき出る泉。それは幸福へつづく道。それは成功の価値。

 施しをする時間を持ちなさい。それは天国へと導く鍵。

◎考える時間を持ちなさい。祈る時間を持ちなさい。笑う時間を持ちなさい。
 それは力の源,それは地球でもっとも偉大な力,それは魂の音楽。

 

本名:アルバニア語でアグネス・ゴンジャ・ボヤジュ (Agnesë Gonxhe Bojaxhiu) 1910年8月26日、コソボ州・ユスキュプ(現代のマケドニアのスコピエ)に生まれる。 修道会「神の愛の宣教者会」の創立者。 病人や瀕死の人々の保護・孤児救済の施設を,世界各地に設立する。1952年に行き倒れの人や重症の人を収容する「死を待つ人々の家」を設立。三年後、孤児救済のため「聖なる子どもの家」を開設する。1997年9月5日帰天

 

 

 

学校法人賢明学院 学院長 中原 道夫