優しい心を育むカトリック教育

2016/12/12

三の一 閉塞成冬となった季節

「あかるく,いつも,さわやかに,つづけよう」

 

2016年12月12日(月)

 

我が子に,最初に教えたことは何だったでしょうか。

 

「ごあいさつしなさい。」「兄弟仲良くしなさい。」「半分こしなさい。」兄弟喧嘩のたびに長女や長男には,年下の者へのいたわりを,下の子には,「お姉ちゃんの言うこと聞きなさい。」とか「お兄ちゃんが先でしょ。」と年上の者を敬い従う心を,繰り返し,繰り返し,何度も教え育てたのではないでしょうか。心を育むことを念頭に,わかる言葉で諭しました。優しい子になってほしいと願って育てました。

 

挨拶は,他人との交流の第一歩と捉えていたのか,親の躾が見定められると考えていたのか,厳しい口調になって我が子を躾けたのではないでしょうか。若干親としてよく見られたいという下心もあったかもしれません。

 

幼い子が,ぎこちないお辞儀をして近所の人に挨拶すると,「ごあいさつできるの!えらいわね!!」とか「かしこいわね。いい子だねぇ。」と,ほめたたえられたものです。子どもたちは,ほめたたえられながら,挨拶はよいことだと悟り,自覚し,自ら挨拶ができるようになっていったのではないでしょうか。近頃は,近所づきあいが減り,幼児期に挨拶の体験をしなかった子どもは,大人になってどうなるのでしょう。

 

親は,挨拶してもらいなさいではなく,挨拶しなさいと教えたのに……それが,いつから挨拶してもらうことを期待する大人になってしまうのでしょう。

 

大人から挨拶されたり,話しかけられたりする体験が自然に幼児の心を育み,社会性を身につけていたのではないでしょうか。

 

近頃の子育てに挨拶の躾はなくなったのかと,企業に勤める知人が嘆きます。学校教育でもっと躾をきちんとやるべきだと,声を大にして知人が論じます。さらに,挨拶できない若者が増えていると知人は愚痴ります。企業では頭の下げ方,腰の角度,手の位置,声の出し方,表情等々,専門のマナー講師を呼んで,「あいさつ」の再教育をするそうです。

 

親はわが子に,何を教えて育てたのでしょうか。

 

社会性の基礎基本であり,社会性を躾ける始まりが「挨拶」だったのではないでしょうか。今,あいさつよりも親は,何を重要視するようになったのでしょうか。

【仲良くすること】【分け合うこと】【ゆずること】【挨拶すること】【いたわること】の五つの大原則は,近頃叫ばれているグローバル教育の根幹ではないでしょうか。この五つを守ることができれば世界平和は実現可能なことではないでしょうか。

 

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「持っている一番いいものを分け与えても、決して十分ではないでしょう。

 それでも一番いいものを分け与えなさい。」マザー・テレサ

 

はんぶんこの精神は,幼いころ母に教えられたはずなのに……

はんぶんこ,全世界の親が教えていることなのに……

なぜ世界中で飢えに苦しむ人がいるのでしょうか。

 

学校法人賢明学院 学院長 中原 道夫