優しい心を育むカトリック教育

2016/12/16

三の三 冬霞(ふゆがすみ)の季節

「あかるく,いつも,さわやかに,つづけよう」

 

2016年12月16日(金)

 

聖書のマタイ・マルコ・ルカ・ヨハネ福音書に「挨拶」の場面はでてきます。

 

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「やあこんにちは」「いい天気ですね」というような挨拶があります。このような挨拶はよく分かる種類の挨拶です。ところが時間の挨拶や季節の挨拶ではない挨拶も聖書には出てきます。

マタイ福音書に書かれているイエスが弟子たちを派遣する場面では「その家に入ったら、『平和があるように』と挨拶しなさい。」(マタイ10:12)と書かれています。日本人はこのような挨拶はしません。

 

「聖書の世界で考えられている挨拶」はどのような内容が含まれているのでしょうか。

「『平和があるように』と挨拶しなさい」とのイエスの指示からすると、聖書にでてくる「挨拶」には、「こんにちは。お元気ですか」以上の何かが含まれていることが分かります。

 

お告げの場面の天使ガブリエルの(ルカ1:28~29)挨拶は次の言葉です。

「おめでとう、恵まれた方。主があなたと共におられる。」マリアはこの言葉に戸惑い、いったいこの挨拶は何のことかと考え込んだ。」この場面の天使の挨拶は,どちらかと言うと,「祝辞」に当たるのではないでしょうか。聖書の世界の挨拶には、「祝辞の意味合い」「相手の祝福を願う意味合い」が含まれると言えるのでしょう。

 

「こんにちは。お元気ですか」だけでなく,相手の祝福を願い,相手に祝福を送り届ける。それが聖書の世界で言う「挨拶」の意味でしょう。

 

賢明学院が取り組んでいる挨拶の指導はこの意味を持っています。さらに,立ち止まることにおいて自分の時間を相手のために奉献するという意味も含んでいます。声に出して「神さまの祝福がありますように」と言うのは難しいかも知れませんが,気持ちを込めて挨拶をすることは、可能なのではないでしょうか。

 

一瞬のたちどまりで,ほんのわずかな私の時間をあなたに捧げます。

 あなたは,家族から大切にされている人です。

  あなたは素晴らしいひとです,神様が「良い」と認めた人です。

   わたしにはないものを,あなたは持っています。

 今,私は,ほほ笑むことしかできないけれど・・・・・・・。「シャローム」

 

参考までに,次の聖書の箇所を読んでみてください。深い心のこもったあいさつが交わされています。わたしたちも,挨拶を交わす相手に「祝福」を願いましょう。「主の平和が,あなたの上にありますように」

 

(マタイ10:12)「その家に入ったら、『平和があるように』と挨拶しなさい。」

(ル カ 1:40)「(マリアは)ザカリアの家に入ってエリサベトに挨拶した。」

( 同  1:41)「マリアの挨拶をエリサベトが聞いたとき、その胎内の子がおどった。」

( 同  1:44)「あなたの挨拶のお声をわたしが耳にしたとき、胎内の子は喜んでおどりました。」

 

 

学校法人賢明学院 学院長 中原 道夫