優しい心を育むカトリック教育

2017/02/17

思い

2017年2月17日(金)

 

1969年3月の卒業式に一篇の詩が朗読されました。

 

作者は 聖母奉献修道女会のSrクレアです。宣教活動の為に1953年に来日し母国に帰らないまま一生を教育に捧げられました。そして,43歳という若さで神のもとに旅立たれました。

 

シスターの詩が卒業式で朗読されると,熱いものがこみ上げてきます。

人を育てる崇高な営みに参与できたことへの感謝と同時に,教え子たちにいつまでも先を示してやれないもどかしさ,伝えきれていない数々の事,独り立ちさせなければならない不安感・・・・

だからこそ,私はあなたを忘れないし,あなたのために祈っていますという愛が感じられます。

 

新しい世界に踏み出そうとしているあなた。

その後ろ姿を見つめる私。

あなたに贈るべく適当な言葉も見つけない間に。

 

あまりにも混乱してしまった時代だから・・・

あまりにも分裂してしまった時代だから・・・

あまりにも真実性が誤解されてゆく時代だから・・・

 

私は何も言えない。

心の中にいっぱいあるものを一つとして言えない。

だからじっと見ている。

じっと見つめている。若いあなたを。

 

自他への責任を理解してくれるだろうか。

どんな自由を望んでいるのだろうか。

何を創ろうとしているのだろうか。

きっと心に新しい闘志を燃やしているのだろう。

きっと心にいっぱい誠意を持っているのだろう。

きっと・・・

 

私は見ている。

しみいるような強いまなざしで。

深い,あたたかいまなざしで。

まばたきすらしないで。

 

ただ見送っているのではない。

あなたを見失わないように懸命に追いつこうとしている。

それは絆。

心で見ると必ず見える絆。

 

あなたは歩き続けてほしい。

背後にこの絆を感じながら。  (訳:大園義興師)

 

gakuintyo-20170217

 

シスター・クレア

1927年 2月 6日 カナダで誕生

1947年 7月30日 聖母奉献修道女会入会

1953年10月30日 来日 賢明女学院に奉職

1971年 1月21日 帰天

 

 

学校法人賢明学院 学院長 中原 道夫