優しい心を育むカトリック教育

2017/06/01

衣更え

2017年6月1日 (葵月)

 

もう何十年前になるのだろうか。私が中学生だった頃,6月1日は,「衣替えの日」として全校生徒一斉に,夏服になった。冬の制服で真っ黒だった運動場が真っ白になる日,中間試験が近いと感じる日,もう一年の半分まで来たんだと感じる日,夏休みには何をしようかと密かに楽しみを感じた日等,6月1日は,そんな日だったと記憶している。

 

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最近は温暖化防止対策として,クールビズ(ビジネスを意味するビズ(biz)と,涼しさと格好の良さをかけたクール(cool)を合わせた造語)の期間は5月1日から9月30日までとなっている。5月の連休明け,街は夏模様に一新され,さらに6月1日からはSUPER COOLBIZ期間も始まる。この流れからいくと,生徒たちの夏服も二段階の変化が必要なのだろうかと感じる。地球温暖化防止のために,エネルギー消費を抑えるという本来の目的を見失わないようにしないと,単なるリラックス効果で終わってしまいそうな衣替えになる。

 

そういえば,期末試験前から始まる短縮授業や,9月の始業式後の1週間程度の短縮授業期間も楽しみの一つだった。今は空調が整い,短縮期間の必要もなくなってしまったが,温暖化防止の観点からすればクーラーを使用しない期間があって,短縮授業を行い午前中で下校できる仕組みの方がよかったのではと,昔を懐かしんでいる。昔の短縮を実行すれば,ひょっとして下校時間が熱中症の発生率の高い時間になってしまうのではないか・・・と悩む。

 

衣替えの習慣はいつ頃から始まり,そして今のように温暖化と共に変化しつつある形になったのだろうか。季節の変化として四季があり,季節によって天気や気温・湿度が変化する日本では,季節ごとに衣服や持ち物を替える必要があったのだろう。生徒たちに配布する昔の行事予定表の61日と101日は,「衣替えの日」と記載されていた。この風習は,中国の宮廷で夏服と冬服を入れ替えていたことから始まり,日本へは平安時代頃に伝わり,室町時代から江戸時代にかけて,四季に合わせて式服を替える習慣が定着したらしい。

 

変わり目を意識して,変化させるのは衣だけでなく日々の生活にも取り入れる意識を持つ事が大切だと思う。そして衣替えの日には,明日からでなく,今日から今から始めるという意志を固める日にしてほしいと生徒たちに伝えたい。

 

一日に英単語を三語覚えよう。毎日三語なら確実に覚える事が出来る。しかし欲張って五語に挑戦すると,次の日はまだ覚えていても,二・三日するといくつか忘れてしまうという現実がある。三語なら確実に累積して記憶していくことができ,歩きながらでも電車の中でもバスの中でも覚える事が出来る可能な数となっている。3語×365日=1095単語となる。これを三年間続けると,3285単語が身に着く。英語検定合格の目安の語彙数は,準2級の必要最低語彙数が2600~2800語。そして2級の必要最低語彙数は3800~4000語と言われている。単語の記憶数だけでは検定試験に合格しないだろうが,目標を定め,見えた目標をめざして今すぐ挑戦してほしい。明日の単語テストまでに必要な20語程度の記憶力はみんな持っているのだが,無理して一度に覚えたものは,時間がたてば記憶から消えていく。

 

将来を見据えて精神力を変える日,目標を定めて意志を強める日,そんな日として新時代の衣替えの日,6月1日を理解してほしい。「意志あるところに道は開ける。」Where there's a will, there's a way.

 

ジョン・フィッツジェラルド・ケネディ(John Fitzgerald Kennedy)の言葉

1917年529 - 19631122日)は、アメリカ合衆国の政治家。第35代アメリカ合衆国大統領

 

All of us do not have equal talent,

but all of us should have an equal opportunity to develop our talent.』

我々すべてが等しい才能を持っているわけではない。

しかし、我々はすべて才能を伸ばす等しい機会を持つべきだ。

 

学校法人賢明学院 学院長 中原 道夫