優しい心を育むカトリック教育

2017/06/27

地球にやさしく

 

2017年6月27日 (涼暮月

 

阪和線の上野芝駅から天王寺方面に向かう途中に,鶴ヶ丘という駅がある。この駅から徒歩で10分程度の所に小さな教会がある。今は聖堂が取り壊され,駐車場となり昔の面影はないが,子どもたちが遊んだ広場は面影をとどめている。その広場には,白い可愛い花をつけるクローバーが一面に自生している。昔,こんな小さな空き地でよく野球やキャンプをしたものだと感心する程度の広さだが,時々近所の子どもたちが遊びに来て花摘みをしている。クローバーの花で花輪を作っている様子は,昔は珍しくなかった光景だが今では大変珍しい光景だと感じる。ゲーム機があふれ,ネットでゲームをする事が当たり前になっている時代に,今でも花で遊ぶことを知っている子どももいるんだなと感心してしまう。草花を使って想像豊かに物を作ることは,自然とのふれあいの一番身近な活動だと思う。これは,なくしてほしくない遊びだ。大自然の中に出かけるのも大変いいが,身近な原っぱにも自然とのふれあいの要素がある。

 

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近所の小学生の下校時間に出くわすと,自分の幼かった頃を思い出す。下校時間ぎりぎりまで運動場で「陣取り」や,「三歩あて」,「宝島」,「ドッジボール」,「キックベース」など,毎日毎日遊び尽くしていた。遊び尽くしてからの家への帰り道は,仲のいい友達五人と,いつもまた何かしら遊んで帰っていた。帰り道の途中には,何か所もの空き地があり,その空き地でまた楽しんでいろいろ遊んでいた。空き地での遊びには,笹船・シラカシの葉の草笛・スズメノテッポウの笛・朝顔の風船・朝顔の葉っぱの鉄砲・オシロイバナのパラシュート・エノコログサのレース・オオバコ相撲など,葉っぱや花でも遊んだ。まさに毎日道草していた。

 

今は生活の中で,雑草を見る事もまれになってしまったが,意識して歩けばまだまだ雑草を見つける事が出来る。子どもたちに,草花で遊ぶという自然との係わりを残したいと思う。

 

六月,現在,霞ヶ丘公園の広場にも,白い小さな花が咲いている。通称クローバーと呼んでいる白い花は, シロツメクサ〔白詰草〕 英名 White clover と言うそうだ。マメ科で学名は Trifolium repens L. の多年草であるが,日本に伝わったのは江戸時代の後期とされている。オランダからガラス製品が輸入された際,ガラスが割れないようにと,箱の隙間に充填材として乾燥したシロツメクサが詰められていたのが日本に伝わった起源とされている。 そして日本各地に広まったのは,明治時代以降だそうだ。シロツメクサ同様,ポップコーンも充填材として利用されていたと聞き,驚いた。梱包用の緩衝材として,味付けをしていないポップコーンが用いられていたそうだ。使用後は,飼料や肥料として再利用されていたらしい。しかし発泡樹脂製の緩衝剤に比べ緩衝性能が劣り,カビ発生や虫害のリスクがあるため,徐々に使われなくなったが,石油製品に比べると,自然に優しい材料ではないだろうか。毎日の生活の中で自然を身近にしていると,地球への優しい接し方や実践がもっと見つかるのではないだろうかと考える。

 

タンカーの座礁時に漏れた重油を処理する訓練にも,重油の代用として味付けをしていない大量のポップコーンで演習することがあるそうだ。これにはポップコーンを万が一回収し損ねても,魚や鳥の餌となるため,自然に悪影響を与えないという理由があるらしい。みんなの地球だ,地球にやさしくありたい。

 

『自然はやさしい案内者である。賢明かつ、公正で、しかもやさしい。』

 

ミシェル・ド・モンテーニュMichel Eyquem de Montaigne / フランス.

生誕 1533年2月28日

帰天 1592年9月13日.

16世紀ルネサンス期のフランスを代表する哲学者。モラリスト、懐疑論者、

人文主義者。現実の人間を洞察し人間の生き方を探求して綴り続けた。

主著『エセー』は、フランスのみならず、各国に影響を与えた。

 

学校法人賢明学院 学院長 中原 道夫