2017/10/05
中秋の名月の日に,ススキを飾り,月見団子を供える習慣は,今も各家庭で続けられているのだろうか。
日本の文化の基は各家庭にあるというのが私の論だが,近代化された家に縁側はなくなり,月見の出来る場所もない家の造りに変わり,さらに日々の忙しさに,昔の習わしは失われつつあるのではないだろうか。過去の習わしは今や,Televisionの中の出来事になってしまっている気がする。
今年の中秋の名月は10月4日だ。中秋の名月をめでる習慣は,平安時代に中国から伝わったと言われている。名月は満月と思われている方は少なくないと思うが,今年は10月4日が中秋の名月で,この4日の翌々日の10月6日が満月にあたるから「中秋の名月の日には,美しい月が見られる。そしてその月は満月である。」と思い込んでいた考えは,違っていることになる。
理科の授業で学習したのでは・・・。
月は地球のまわりを公転しながら、およそ29.5日の周期で満ち欠けを繰り返す。しかし月は,この周期の半分の14.75日で必ず満月になるわけではない。理由は,月の公転軌道が完全な円形ではなく少しつぶれた楕円形をしているためだ。月が地球に近い位置にあるときには公転のスピードが速く,反対に月が地球から遠い位置にあるときには公転のスピードが遅くなる。このため,新月から満月までにかかる日数は13.9日から15.6日と大きく変化する。このような理由により,中秋の名月と満月の日付がずれることが起こる。月の周期の約29.5日の半分である15日前後は必ず満月になります。
このため,月齢15日の月を十五夜と呼ぶようになった。理論はともかく,満月前後の月はとても明るく大きく見応えがある,今年の中秋の名月も満月と遜色のない美しい月を楽しむことができるだろうと期待している。
十五夜に関する歌の中に,文部科学省の小学校学習指導要領で,音楽の表現教材に使用されている日本古謡がある。この歌は,江戸時代から歌い継がれて来たと伝えられているが,1892年(明治25年)の『小学唱歌 (ニ) 』に初めて教材として掲載された。当時の歌詞は「なに "を" 見てはねる」であったが,1941年の『ウタノホン (下) 』から,"を" の文字を抜いた歌詞になったと言われている。
“うさぎ うさぎ なに見て はねる
十五夜 お月さま 見て はねる”
日本の月ウサギは,・・・・・何に見える。
カナダインディアン → バケツを運ぶ少女
北ヨーロッパ → 本を読むおばあさん
南ヨーロッパ → 大きなはさみのカニ
東ヨーロッパ → 横向きの女性
北ヨーロッパ → 水をかつぐ男女
アラビア → ほえているライオン
ドイツ → 薪をかつぐ男
学校法人賢明学院 学院長 中原 道夫