2017/10/31
11月2日をカトリック教会は『死者の日』としています。
11月2日にすべての死者を記念する習慣は,998年にクリュニー修道院のオディロンによって始められ,クリュニーの修道士たちの影響によって11世紀には世界各地で行われるようになりました。ローマ教会の記録によると1311年の暦に「死者の日」が記されています。
教会の典礼暦では11月2日は「死者の日」とし,亡くなったすべてのキリスト者を記念します。亡くなったすべてのキリスト者を特定の日に記念することは,7世紀初めにセビーリャの司教インドルスが,聖霊降臨の祝日の翌日に,死者を記念するミサを行なうように指示したことに始まるとされています。11月が「死者の月」として定着してきたのがいつからなのか定かではありませんが、死者への思いがミサをはじめとする様々な祈りの形で表され,それが広がりを見せ,伝統・習慣となって次第に死者の月になったと考えられます。
カトリック教会で行われる通夜の式は「親しい人との別れは,だれにとっても悲しいことです」という招きの言葉で始まります。キリストを信じる者にとって死が人生の終わりに思えたとしても,新たな人生の始まりであり,天国への旅立ちであることを信じているからこそ,人の死を素直に見つめ悲しみの中にも安らぎを覚えるのです。通夜での祈りは,「キリストは『わたしは復活であり,いのちである。わたしを信じる者はたとえ死んでも生きる』と教えられました。別離の悲しみのうちにもわたしたちは,このキリストのことばに慰めと希望を見いだします」と新たな人生の始まりであると表明します。そして,私たちの信仰を強め,死者の復活を待つ私たちの希望を,不動のものとしてくださいと祈ります。
11月2日『毎日の読書』より
わたしたちは生者と死者を問わず万人との連帯関係にあり,その連帯関係は聖徒の交わりを土台としています。「聖徒の交わり」とは,「聖なるものの分かち合い」と「聖なる人々の交わり」という意味を持ち,聖徒たちの交わりが,まさに教会なのです。すべての罪はこの交わりを損なうものです。
教会はキリスト教の初期の時代から,死者の記念を深い敬愛の心をもって尊び,キリストの復活にあずかることを信じて眠りについた人々に,永遠の喜びを与えてくださいと祈ってきました。祈願をもささげてきました。死者のためのわたしたちの祈りは,死者を助けるだけでなく,死者がわたしたちのために執り成すのを有効にすることができるのです。
『カトリック教会のカテキズム』(946、953、958)を参照
学校法人賢明学院 学院長 中原 道夫