優しい心を育むカトリック教育

2017/11/21

これを読めば,いぬ派

枯れ葉舞う季節,日に日に寒さがつのってくる季節となりました。

 

カレンダーもあと一枚。一年を振り返ってみると,今年は何をしただろうか,何ができただろうか,とついつい思案してしまいます。

 

11月にしては寒くもなく,日差しが心地よい,まさに小春日和の昼下がり,物思いにふけりながら歩いていると,学院下の公園から,可愛い大きな声が聞こえてくる。賢明の幼稚園児とお母さんらしい。リヴィエ横から公園を見ると,大きな木の下に二組の家族が,お弁当を広げてお祈りしているようだ。お母様の声は聞こえないが,二人の子どものはつらつとした声が,耳元まで届いてくる。いいなぁ,小春日和の昼下がり,ちょっとしたピクニック気分になる。11月なのに,風はそよ風のように心地よく感じる。こんな時,何をするのがいいのでしょう。

 

そういえば子どもの頃,「秋は読書の秋」と教わったことを思い出す。疲れた時,読んでみるとホッとする一冊の本が,私は大好きだ。犬派の私は,少年と犬が繰り広げる本の世界が,大好きだ。私の記憶では,我が家に来た最初の犬は,ボブと言う名の雑種だった。玄関の土間で飼われていたが,まだ幼稚園に通う前の私が玄関を通ると,挨拶代わりにいつも私に飛びついてくるので,目の前にボブの顔があり、その都度私は全力疾走で,玄関を走り抜けていた記憶がある。ボブと私の,この時代を思い出させてくれる本に描かれている主人公の名前は,じんぺいです。

 

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『ゆうたとさんぽする』シリーズ   きたやまようこ 作  シリーズから好きな場面を抜粋

 

おまえわらうおれしっぽふる。おまえほんがすきおれほねがすき。

おれとおまえ全然ちがうけどともだち!

おまえパンツはくおれはかない。

おまえくつはくおれはかない。 

さて、さんぽにつれていくのはだれ?

おまえ「おはよう」。 おれ「わん」。 おまえ「いただきます」。 おれ「わん」。

さて1日がおわって見る夢は?

おれのうちにいるのは料理がすきなおとうさんたべるのすきなおかあさんゆうた、

ゆうたのいもうと。

おれがすきなのは?

おかあさんかおあらうとかおかわる。おれいくらあらってもこのかお

やさしいおかあさんのかおだいすき。

おとうさんひげそる。おれそらない。

おとうさんときどきおさけくさい─だけどそんなおとうさん、だいすき。

むし あしたもげんきでおれをまってろ。

おれきっとみまわりにくる。

小さな虫にもやっぱりいばっているじんぺい君です。

あいつ たかいとこすき。おれ あぶないことしない。

ねこといぬ(自分)を比較するちょっとおすましのじんぺい君です。

 

じんぺい君がゆうたをつれて散歩です。短文で書かれているのに,小さな男の子と犬のじんぺいの生き生きした様子が,とてもよく心に伝わってくるので,大好きです。子どもの頃に帰ることが出来る,一冊の本。読書の秋,皆さんも何回も読みたくなる本,見つけてください。

 

学校法人賢明学院 学院長 中原 道夫