優しい心を育むカトリック教育

2017/12/21

St. Stephen's Day

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1226日はステファノの記念日だ。ドイツのケルン大聖堂のステンドグラスには,ステファノの殉教の場面が描かれている。キリスト教最初の殉教者といわれるステファノ(生年不詳-エルサレム36年没)は,ギリシャ語を話すユダヤ人であった。イエス・キリストが昇天されてから数年がたち,キリスト信徒が増えていたころ,ギリシャ語を話すユダヤ人信徒たちからヘブライ語を話すユダヤ人信徒に対する苦情がもち上がった。苦情の原因は,彼らのやもめたちが,教会からの配給を十分受けられないということであった。そこで12使徒(イエス・キリストに選ばれた弟子)たちは,やもめたちへの日常品を配給・監督し,使徒を補佐する7人を選んだ。ステファノは,その中の1人であった。(使徒行録67章)

 

しかしキリスト教に反対する人々は,ステファノを憎み,彼が神殿を破壊しようとしているという偽りの罪を着せ,告訴して彼を衆議会の裁判に連行した。これに対してステファノは弁明した。イスラエルの救いの歴史に対して人々が神にしてきた過ちや,今のイスラエルの人々も救い主である神を裏切り,死に至らしめたことを堂々と述べた。これを聞いた議員たちは怒り,ステファノを冒涜者として石打ちの刑にした。

 

イタリアではクリスマスプレゼントの交換は,家族間だけではなく友人間でも行われている。クリスマスは家族と教会に出かけ,和やかであたたかい家族団らんの雰囲気の中でキリスト生誕を祝う。そして聖ステファノの記念日は,キリスト教徒以外ではあまり馴染みがないが,カトリック教会と東方正教会から崇拝されている日で,友人たちと祝うことが多い。この記念日は,カトリックや一部のプロテスタントでは1226日,東方正教会では1227日にお祝いする。

 

イタリア以外の国では,オーストリア・ドイツ・アイルランド・デンマーク・スペインのカタルーニャ自治州・クロアチア・セルビア・モンテネグロ・ルーマニア等で,祝われている。

 

(使徒行伝 第7章)

 大祭司は「そのとおりか」と尋ねた。 そこで、ステファノが言った、「ああ、強情で、心にも耳にも割礼のない人たちよ。あなたがたは、いつも聖霊に逆らっている。それは、あなたがたの先祖たちと同じである。いったい、あなたがたの先祖が迫害しなかった預言者が、ひとりでもいたか。彼らは正しいかたの来ることを予告した人たちを殺し、今やあなたがたは、その正しいかたを裏切る者、また殺す者となった。あなたがたは、御使たちによって伝えられた律法を受けたのに、それを守ることをしなかった」

 

人々はこれを聞いて、心の底から激しく怒り、ステファノにむかって、歯ぎしりをした。しかし、彼は聖霊に満たされて、天を見つめていると、神の栄光が現れ、イエスが神の右に立っておられるのが見えた。そこで、彼は「ああ、天が開けて、人の子が神の右に立っておいでになるのが見える」と言った。

 

人々は大声で叫びながら、耳をおおい、ステファノを目がけて、いっせいに殺到し、彼を市外に引き出して、石で打った。これに立ち合った人たちは、自分の上着を脱いで、サウロという若者の足もとに置いた。こうして、彼らがステファノに石を投げつけている間、ステファノは祈りつづけて言った、

 

 「主イエスよ、わたしの霊をお受け下さい」

 

そして、ひざまずいて、大声で叫んだ、 「主よ、どうぞ、この罪を彼らに負わせないで下さい」

こう言って、彼は眠りについた。

 

学校法人賢明学院 学院長 中原 道夫