優しい心を育むカトリック教育

2018/01/22

ステンドグラス Ⅰ 歴史

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ステンドグラスから差し込む光は,賢明学院のチャペルの表情を,一刻一刻変えていきます。

 

STAINED GLASSは,金属酸化物を混入することで着色したガラスの小片を結合し,絵や模様を表現したもので,教会や西洋館等の窓の装飾に多く用いられています。一般の人が文字を読めなかった時代に,聖書の中に書かれている世界をその人々に伝えるため,ステンドグラスの制作技法は発展してきたので,ステンドグラスと聞くと教会をイメージしてしまう事が多いのですが,現在では公共建築・住宅などにも採用され,ガラス工芸としては,ランプの傘などにも用いられています。特にティファニー創始者の息子,ルイス・コンフォート・ティファニーの,ステンドグラスのランプ傘は有名です。

 

フランスで現存する古いステンドグラスは,ストラスブルグにあるルーヴル・ノートルダム博物館所蔵の,キリストと思われる人物の頭部(1060年ごろ)が形作られた物です。そしてリヨン(フランス)の教会のステンドグラスを見た人物が,『まるで春の花でいっぱいの草原のように光かがやいている』と,5世紀頃の書物に記しています。

 

12世紀に入ると建築の技術が発展し,窓の大きな建築物(修道院や大聖堂ゴシック建築)が建築されはじめ,大きな窓の設置が可能となりました。それに比して,ステンドグラスの絵付けの高度な技術も発達し,聖書の細かな場面や,聖人のイメージをガラスで表現することが可能となりました。12世紀のステンドグラスの作品は、フランスの『ルマンの大聖堂』に見ることができます。

 

13世紀には,シャルトルブルーで有名な『シャルトルのノートルダム大聖堂』の,ステンドグラスがあります。これは,12世紀のものに比べるとよりデザインが細かく,装飾的な性格も持ち合わせています。そして,シテ島にある『サント・シャペル教会』のステンドグラスは,デザインの繊細さでは,最高傑作と言われています。

 

フランスの『ランスの大聖堂』は,アミアン大聖堂・シャルトル大聖堂とともに、フランスの三大大聖堂の一つと言われています。この聖堂には、マルク・シャガールが描いたステンドグラスがあり,シャガール・ブルーと言われる,青をふんだんに用いて創られたこのステンドグラスからは,宗教を通り越したものが感じられます。

 

賢明学院のステンドドグラスは,これからの時代にふさわしい作品です。明るさの中に太陽光線と調和した優しい色の光は,訪問者を愛おしく包み込んでくれます。ステンドグラスを通してチャペルに差し込む光は,人の心を温かくしてくれます。光は,闇の対象にある存在です。

 

ステンドグラスにふさわしい,光の恩恵を感じる言葉を見つけました。

 

『自分が光るまで光を吸飲しよう』

世の中にある「知恵」や「徳」や慈悲にあふれた「愛の心」などの多くのものを吸飲しよう,

そしておのれを己たらしめるものを,自分の中に築き上げるために努力を惜しまずに前進しよう,

そうすればきっと輝く自分になれる。

 

坂村真民

生誕1909年  帰天2006

熊本県出身の仏教詩人。「癒しの詩人」と評された。彼の詩碑は日本をはじめ世界に730基も建てられているそうだ。

彼の言葉は弱者に寄り添い,癒しと勇気を与えるもので,多くの人達に生きる力を与え続けている。「知恵」は,最も深い意味での理性と解釈されている。

 

学校法人賢明学院 学院長 中原 道夫