優しい心を育むカトリック教育

2018/03/30

復活祭 Easter 2018年4月1日

「先生,復活祭って何?」下校時の低学年の児童が,突然質問してきた。「知ってるで」隣の子が得意げに「イースターやで」と横から応える。私が,「復活祭とはね,イエス様が十字架にかけられ亡くなってから,三日目に生き返ったことを,お祝いする日だよ」と答えると,「ふーっん」。この時点で子どもたちは,この人に聞いたら話が長くなってややこしくなり,わかりにくいのではと悟ったのだろう。そこで「先生,また聞くねっ」と,私にとってはショックな言葉を残しながら,春休みめざして目の前を走り去っていった。

 

復活祭,この言葉はきっと宗教の時間に聞いたのだろう。確かに,子どもたちにとってキリストの復活は,三日目と言いながら二日目にしか理解できない内容だし,死んだのに生き返るなんて,不思議でたまらない話なのであろう。イエスが生まれた日,お誕生日の方が理解しやすく,自分にも誕生日があるのだから,Christmasの方が身近に実感できるのだと思う。しかし,賢明で何年間か学ぶいつの日かに,復活祭の意味を理解してくれる日が来ると,私は信じているのである。

 

さまざまな要因で,Christmasは日本中のお祭りになってしまったが,カトリック校の園児・児童・生徒たちには,復活祭の持つ意味を知っていてほしいと願っている。カトリック教会では,ご復活前日の土曜日の日没以後に,復活徹夜祭が行われる。徹夜際は,祝福された大きな復活のローソクに火を灯すことから始まり,ご復活を祝う期間は,聖霊降臨の主日までの50日間続く。

 

 

学期中に復活祭を迎える時は,この日をお祝いの日として迎えたいと考えている。2019年は421日・2020年は412日が復活祭の日にあたるので,新学期を迎えた学校生活の中に,学院全体で復活祭を記念する日を考えている。

 

私の子どもの頃の記憶の中の復活祭と言えば,復活祭の真意よりも,卵をもらえる日であり,聖土曜日には教会に子どもたちが集まり,大人に交じってEaster eggを作っていた記憶しかない。しかしその楽しい記憶が,復活祭理解への土台となったのではないだろうかと考えられる。賢明の子どもたちも,楽しい思い出から始まり,真意理解への道へと繋がっていくことを願っている。

 

(春分の次の満月の次の日曜日)

 

イースターは,クリスマスのように毎年同じ日ではありません。

 

イースターは,春分の次の満月のすぐ後の日曜日と定められています。322日~425日の期間を移動する,移動祝祭日です。西方教会は,グレゴリオ暦を使っていますが,非西方教会(たとえば,ギリシャ,ロシア教会など)では,ユリウス暦を用いていますので,カトリック教会とは違った日に復活祭を祝います。

 

このように決められたのは,325年のニケア公会議においてです。それより以前は,ユダヤ教の,過ぎ越しの祭りとともに祝われてきました。イエスが最後の晩餐(ばんさん)を行ったのが,過ぎ越しの祭りのときであったことから,このときに祝われてきたと思われます。

 

(語 源)

 

Easter(イースター)イエス・キリストの復活を記念する復活祭は,教会で最も古い祝日です。

 

Easterという言葉の由来は,アングロ・サクソン民族の,厳しい冬が終わり,あたたかな光の中,いのちが芽生える春を祝う「春の祭り」です。この祭り,あるいは春の女神の名前は,OSTARAとか,OSTERA,EOSTOREと呼ばれていました。ドイツ語でOsternとなって,キリストの復活祭が,春に祝われることから英語ではイースター(Easter)と呼ばれるようになりました。

 

学校法人賢明学院 学院長 中原 道夫