優しい心を育むカトリック教育

2018/04/12

賢明な保護者

幼稚園の入園式が終わった。この世に生を授かってからまだ三年しかたっていないのに,これから幼稚園という教育機関の中で,社会生活の一歩を踏み出す。今まで,家庭という小さな人間関係の中で生きて来た幼い子どもたちが,社会生活を始めるのだ。育って来た環境の違う子ども達,それぞれの家庭の躾も異なり,一言で表現すれば,環境の異なった子ども達が,賢明学院幼稚園という共通の社会で,集団生活を始める。保護者の方々も,子どもを社会へ送り出すことが初めての方や,経験者の方など,個々に体験や経験も異なっている。このように異なった環境の方々が,幼稚園という共通の社会で出会い,一つとなって,かけがえのない子どもたちを育んでいく。お一人おひとり,わが子の親であることには間違いないが,今日からは,年少児全員の保護者になって欲しいと,私は入園式の挨拶でお話しさせて戴いた。現実には,三年間の家庭生活の教育や躾は,そんなに簡単に融合していくものではない。しかし,保護者の皆さまが,みんな「私の子」という立場に立ち,賢明学院の教育方針に心を沿わせて下されば,賢明学院の幼児教育は,真の意味で,保護者と教職員が連携した保育となると信じている。

 

幼稚園のホールに集まった入園式の新入園児の中には,座っていることが出来る子もいれば,お母さんから離れられない子もいた。また,われ関せずと席を立つ子もいたのだが,これが子どもたちの素のままの姿であると感じた。個人には,差があって当然なので,他の子どもと比較することなく,わが子の昨日と今日の成長を見極め,その成長を認められる親,賢明な親でいつもあって欲しいと願っている。

 

賢明学院の教育の中で,自分でやってみるという自主を体験し,自分で決めてみるという自立を学び,そこから良いことを学び良いことを自ら進んで取り組むという自律を学んでいく過程で,子ども達は一人ひとりの時間を大切にして日々成長していく姿が観えるようになる。一律に決めつけていく教育はある意味では楽で,すぐに見える効果が期待できるが,賢明学院は一人ひとりは神の似姿である人格者と捉え,個々の能力を大切にして育んでいこうと考えている。学院としては,これから三年後の園児たちの姿を期待して戴きたいと思っている。

 

 

愛は

あなたの行動を柔和にし

忍耐深く

まわりの人々のみじめさや弱さを抱擁し

 

あなたの心を 「母の心」にしてくれます。

 

創立者 マリー・リヴィエの教え

 

学校法人賢明学院 学院長 中原 道夫