優しい心を育むカトリック教育

2018/09/24

教育活動 幼稚園 【3】

教育の5分野

子供達のそれぞれの敏感期を元に,5つの分野(1. 日常生活の練習 2. 感覚教育 3. 言語教育 4. 算数教育 5. 文化教育)に体系化して保育に取り組んでいます。

 

1. 日常生活の練習: Practical Life

 

 

「運動の教育」として位置づけられています。

2~3歳の子どもは「模倣期」にあります。大人がする日常生活上の様々な動作の真似をしたがります。この時期を「身体発達と運動の敏感期」と呼んでいます。身体をある程度自由に動かすことができるようになり,盛んに身体を動かして環境に働きかける時期だからです。

 

この模倣期と運動の敏感期を利用して,秩序だった動き方や身のこなし方を伝え(教え)ます。子どもは,自分の意志どおりに動く身体をつくり,自分のことが自分でできるようになります。その結果,自立心,独立心が育ちます。

 

日常生活の様々な練習を通し,自分の生活を依存から自立へと成長させ,さらには精神的にも自立する心を育てます。この時の教具の特徴として挙げられる点は,子どもが扱いやすいような子ども用サイズのものであること,子どもが思わず手を出したくなるほど色彩や形が魅力的であるもの,そして清潔であることです。簡単に洗えて常に清潔に保つことができ,子ども自身が汚れに気付くものを教具として使います。また,落とせば割れてしまう陶器やガラス製のものなど,本物であることも重要です。本物の教具を使うことによって,本物の持つ美しさを感じられたり,壊さないように慎重に扱うことに慣れる練習をするのです。

 

2. 感覚教育: Sensorial

 

 

2歳から3,4歳にかけての子どもは,次の3つの発達特性を持っています。

 

感覚刺激に敏感になり,感覚器官を洗練しようとします。小さな物音に興味を持ったり,いろいろな物に手当たりしだいに触ったりすることが,その現れです。無意識的に吸収したものを意識にして整理する3歳ごろの子どもは,大人の真似をしながら,無意識的に外界の様々なできごとを吸収しています。3歳ごろから,それまで無意識的に吸収してきたものを,意識的に整理しようとします。

 

「どうして?」という問いかけは,その現れです。

 

知性の萌芽と言われる2歳ごろの子どもは,同じ絵や模様に気づいたり,ばらばらになったカードの対を探したり,何かを大きい順に並べたり,形別に分けたりすることを好んで行います。これらは知性の萌芽の現れです。「感覚教育」は,感覚を洗練させ意識的吸収精神を助長して抽象的概念を獲得させ,ものを考える方法を身につけさせることを目的とします。感覚教具には,比較することを基本とした ≪対にする≫ ≪段階づける≫ ≪仲間分けする≫ の3つの操作法が組み込まれています。

 

「ピンクタワー」・・・大小10個の立方体を大きい方から積み上げていく教具。

「円柱さし」・・・・・大小・高低・太細など視覚を養う教具。

「触覚板」・・・・・・粗さ滑らかさなど触覚を養う教具。

「音感ベル」・・・・・聴覚で音の高低さを識別する教具。

これらの教具は,1セットずつ備えておくなど制限を設けます。制限があることで,自分のやりたい教具を友達が使っている場合に待つことを覚えたり,社会性やマナーを身に付けていきます。

 

9の6へ続く

 

 

学校法人賢明学院 学院長 中原 道夫