優しい心を育むカトリック教育

2018/12/07

待降節 (たいこうせつ)

 

クリスマス(降誕祭)の4週前の日曜日(2018年は12月2日)から,クリスマスを準備する期間「待降節」に入りました。クリスマスはイエスの誕生,神のひとり子イエスの誕生を思い起こす日として,古代から祝われてきました。イエスがいつ生まれたのか,聖書には何も書いてありません。ではなぜ,クリスマスは,12月25日に祝われるようになったのでしょうか。

 

これには次の説が,有力であるといわれています。ローマ帝国内では,太陽崇拝が広く行われていました。 ローマ暦では12月25日が冬至で,この日を太陽誕生の祝日として祝っていたようです。教会はこの祭日を取り入れ,「正義の太陽」であるキリストの誕生の日として祝うようになったそうです。ヨーロッパの土着の宗教であった,太陽を迎える祝いと収穫を感謝する祭りに,イエスこそが真の光だという宗教的な意味合いが加わって,今の形となったようです。

 

ツリーが飾られ,イエス誕生の場面がジオラマとして再現され,待降節の実践が始まるこの時期は,カトリック校が一番宗教的な霊気とカトリック校らしい雰囲気に包まれる時です。

 

Christmasの準備】

 

クリスマスツリー

 

クリスマスツリーの由来にも諸説がありますが,使われるのは,もみの木で葉を落とさない常緑樹(エバーグリーン)です。厳しいヨーロッパの冬は一面真っ白な雪に覆われ,その中でも葉を失わない常緑樹は,永遠の命の象徴とされ,尊ばれました。それが,クリスマスの頃になるとキリストが来てくださるという喜びと,永遠の命の象徴として,また人々に力を与えてくださる象徴として,街角に飾られたり,家庭で飾られたりするようになりました。ドイツ地方の土着宗教の祭りには,もみの木に花や食べ物を飾って,木に宿る小人がとどまって力を与えてくれるというものもありました。

 

また,宗教改革で知られるマルチン.ルターが礼拝の帰りに常緑樹の間にきらめく星の美しさに心を打たれ,子どもたちのために再現しようと家の中にもみの木を持ち込み,火のついたろうそくを飾ったことが,もみの木を家の中に飾りイルミネーションで飾った由来と言われています。 その後,ドイツではクリスマスツリーの飾り付けが一般的になり,様々なオーナメントが飾られるようになったと言うことです。

 

欧米では届いたクリスマスのプレゼントやカードをツリーの根元に並べ,クリスマスが来るのを待ちます。また,クリスマスツリーのてっぺんに飾る星,トップスターは,キリストが生まれたベツレヘムへ東方の賢者を導いた輝く星を表しています。

 

クリスマスリース

 

由来についても諸説がありますが,用途的には,葉に殺菌作用と抗菌作用のある常緑樹を玄関に飾り,魔よけにしたというものと,豊作を願って玄関を飾る,日本で言えばしめ縄のような役割があったというものが有力です。

実際リースに使用される樹木はモミの木や,キリストの受難を表すひいらぎなどの魔よけや宗教的意味合いの強いものと,麦の穂,ブドウの蔓,松ぼっくり,リンゴなどの作物に関係するものがあります。中でもリンゴは寒い冬に保存が利き,栄養のある非常にありがたい作物で,常緑樹に吊して神へのお供えものとしても使われていたようです。このリースにクリスマスの4週間前から毎週1本ずつろうそくを灯し,クリスマスを祝う習慣もあります。

 

学校法人賢明学院 学院長 中原 道夫