優しい心を育むカトリック教育

2019/10/21

Climate Strike

「Sustainable Development Goals(SDGs:持続可能な開発目標)」は,2015年9月に国連で開かれたサミットの中で,世界のリーダーによって決められ,国際社会共通の目標とされた。しかし,見える形での実現が出来ていないのが,現状と言えるのではないだろうか。資源にはすべて限界があるにもかかわらず,深刻な問題とされていないのが現実だ。

 

2020年から始まる小学校の指導要領の前文にも,SDGsとの関連性が明記され,「持続可能な社会の創り手」となる事ができるようにと求められている。SDGsに実際に取り組む必要が教育界にも求められている中で,こんなニュースが日本にも届いた。

 

「Over 4 million on 「Climate Strike 」today. In 163 countries. And counting  If you belong to the small number of people who feel threatened by us, then we have some very bad news for you. This is just the beginning. Change is coming - like it or not.」

 

16歳の環境運動家グレタ・トゥンべリさんが,9月20日呼びかけた,「グローバル気候マーチ(欧米ではClimate Strike)」だ。ニューヨークやロンドン,ベルリン,東京ほか,世界各地で行われた。

 

気候関連のデモでは過去最大と,米メディアも報道している。このストライキは,毎週木曜日に学校を休んで,実施されていた。学校を休んでこのような活動をする事に対しては,賛否両論がある。どちらにも正当性があると思うが,良い悪いという問題ではなく,若者たちがこのような形で取り組み始めた事に対して,大人がどのように感じるかや,この若者たちの行動を真摯に受け取り,大人としての行動をどのように起こすかという事の方が大切だと思える。温暖化対策は,国際的に30年以上の取り組みがあり,京都議定書,パリ協定と議論を積み上げて来ているが,温暖化対策をしなければならないとする考え方や勢力の間でも対立点が深刻になり,パリ協定から脱退してしまう国もあるのが現実だ。

 

16歳から始まった気候変動への抗議活動が主張している事は,温暖化問題はとても深刻な問題で,地球を変化させてしまう危険があるにもかかわらず,政治家に代表される大人たちが,分裂した議論をしているだけで,解決に向けての行動がないと訴えている。高校生たちが,温暖化対策のための具体的な施策を主張しているわけではないが,「大人はちゃんと行動しなさい」という叱責であると理解したい。大人が真剣に,行動するべき時が来ているのではないだろうか。

 

 

『死滅しないものとは何か。自然であり、美である』と武者小路実篤先生は 「人生論」の中で記しておられる。昨今の異常気象は,地球が自力で乱れを整え直しているのではないだろうか。自然の力の前に,「人間が作り出したものはもろい」という体験を何回繰り返せば,人類の記憶となり,反省となるのだろうか。

 

学校法人賢明学院 学院長 中原 道夫