優しい心を育むカトリック教育

2019/11/15

しごと

先日,友人の嘆きを聞いた。会社経営者の悩みとでも言えばいいのだろうか。業務遂行の為に,職務の分掌や役割分担を策定して,事業展開方法や市場調査等を入念に行い,社運をかけて新規展開をするそうだが,仕事の進捗や内容の確認を部下に問うと「それは,私の担当とは違います。」という返事が返ってくるそうだ。正直,こんな人物に仕事を頼んだ自分の人選ミスだと思うらしいのだが,「心底,腹が立つ。」と友人は嘆く。仕事をなんと捉えているのか,自分にまかせられた仕事を,正しく理解しているのか。腹立たしさと同時に,情けなくもなるそうだ。

 

 

確かに「仕事」には,「私の仕事」と「あなたの仕事」の分別をつける事が出来る。分別があるからこそ,組織として動ける事もある。しかし,私の仕事とあなたの仕事以外に,「誰の仕事でもない仕事」というものが,煩雑な仕事として運営上は発生してくる。「誰の仕事でもない仕事は,私の仕事である」と考え,進んで人の為に動く事が出来る人,そんな心がけの人が,一人でも多く育って欲しいと願っている。すべてが私の仕事と思い動ける人が,これからの時代にLEADERとなっていく人なのだろう。目に留まった冊子に,下記のエッセイを見つけた。

 

『どんな職場でも、誰の仕事でもない仕事が必ずあります。このような仕事がきちんと処理されている職場は、必ずよくなります。ところが、「これは私の仕事じゃない」といって放置しているところは、そこから会社が腐っていくのです。誰の仕事でもないことをする。世の中をよくするとは、誰の目の前にもある小さなことを積み重ねていくことから始まるのではないでしょうか。

ゴミを拾う人は、間違いなく「ゴミを捨てない人」になります。 他人が使ったスリッパまで揃える人は、間違いなく自分の履物は揃えます。職場の仲間のマグカップが汚れていたら、さりげなくキレイにしてあげるとか、スーパーで商品が斜めになっていたら、そっと直していくとか、誰かが落ち込んでいたら、声を掛けてあげるとか、そうやって心配りができる人になっていくのではないでしょうか。損得ばかりを気にして仕事をしている人が大成するとは思えません。目の前に困っている人がいて、それを知らないふりをして通り過ぎるような人が集まっている職場は、残念ながら良い職場とは言えません。与え合う、協力し合う、助け合う、励まし合う、そういった職場や人間関係が好ましいものです。それもこれも自分次第!今、そういう環境じゃなくても、自分が最初に与える人になっていけたら良いですね。』

 

鍵山秀三郎氏の「すぐに結果を求めない生き方」(PHP研究所)

 

『自分自身のことについて誠実でない人間は、他人から重んじられる資格はない。』

アインシュタイン  Albert Einstein

1879314日 ~ 1955418

 「20世紀最高の物理学者」や「現代物理学の父」などと評され、それまでの物理学の認識を根本から変えるという偉業を成し遂げた。ドイツ生まれの理論物理学者。 1921年のノーベル物理学賞を受賞。

 

学校法人賢明学院 学院長 中原 道夫