優しい心を育むカトリック教育

2020/01/28

だっこ (絵本 3の3)

「だっこ」されている子どもの顔は,みんな幸せいっぱいだ。

 

 

親と子をつなぐ絆は,この世に生まれてからどのように生まれ,続いていくのだろうか。それとも,この世に誕生して来たら,親子の母と子の絆は,途切れてしまうのだろうか。

 

もう数年前の事になるが,生徒を引率しての研修旅行が終わって搭乗した帰国便の中で,通路を隔てて子ども連れの親子,そして右隣には幼い子を連れた,親子と一緒になった。きっとうるさいだろうなとあきらめて,機内では報告書を書く事にした。離陸の時も,飛び立ってから数時間たっても,子どもの声が聞こえないので,通路を隔てた隣をのぞいてみた。幼稚園児ぐらいの子と,まだ一歳か二歳くらいの幼い姉妹が,一心に父親が持ち込んだタブレットの画像を見入っている。日本に着くまで十時間ほどの時間,その姉妹は食事のとき以外じっとタブレットの映像を見入っていた。静かで隣近所に迷惑はかけないけれど,会話もなく窓の外を見るでもなく,ただ一心にタブレットの映像を見ているこの子らは,「将来,会話ができる子になるのだろうか。これでいいのか。」と,子育てに不安を覚えた。一方右隣の幼い子は,母親に抱っこされて絵本を見ていた。母親の声が時々聞こえて来るから,読み聞かせをしているのだろう。両隣とも静かな親子だった。おかげで快適な空の旅となったのだが,親子の姿勢の違いに興味が湧いた。私としては,絵本を読んでいた関係を繋いでほしいと思った。

 

抱っこはママの愛情も深めるため,大切な子育てではないだろうか。子どもを抱っこする事は,安心感を与えるだけではなく,子どもに対する愛情も深めると言われている。抱っこされる事で,不安になったときや困ったときに,抱っこしてくれる人がいるという安心感を,心身共に,得る事ができるそうだ。自分を守ってくれる人がいると思える事ができると、親子の信頼感も自ずと芽生えるはずだ。

 

人を信頼する事ができれば,そこから絆も生まれてくる事だろう。信頼や絆を抱っこから学べば,「自分は守られている」,「困ったときは助けてくれる人がいる」と感じられ,幼子であっても,新しい第一歩を安心して踏み出せるようになるのではないだろうか。社会への第一歩は,『だっこ』ではないだろうかと考えられる。

 

読んでほしい 『だっこ』 の本

『だっこ』  小峰書店        『だっこだっこ だーいすき』  福音館書店

『月夜のみみずく』  偕成社    『だっこ だっこ ねぇだっこ』 ポプラ社

『ねぇ だっこして』 金の星社   『ねぇ だっこ』 佼成出版社

『手ぶくろを買いに』 偕成社    『おかあさんになるって どんなこと』 PHP研究所

『ちょっとだけ』 福音館書店    『ねぇ わたしのことすき』  ほるぷ出版社

『あめのひの おるすばん』 至光社

 

子育てとは,また 幼少期の一番の教育は,

★「ここに生まれてきていいんだよ。あなたの存在をすべて認めてあげる」という親の愛情です。                          

大平光代(弁護士)

 

★「教育とは子どもを,自分の脚で歩けるようにしてやること」   東井義雄(教育者)

 

★「人と絶対に比較せずに,その子の本分を見つけて思い切り伸ばしてあげる」  

辻井いつ子(全盲のピアニスト辻井伸行の母)

 

学校法人賢明学院 学院長 中原 道夫