優しい心を育むカトリック教育

2019/03/16

中学校課程修了式 式辞

51期79名の皆さん,中学校課程修了おめでとうございます。

保護者の皆さまもお子様の中学校課程修了,おめでとうございます。ここまで成長され義務教育終了という節目を迎えられたお子様の姿をご覧になって感無量の想いではないでしょうか。

また,ご来賓として,奉献会喜代田副会長,遠藤副会長をはじめ奉献会役員の皆様,3年生2年生の理事の皆様、この喜びの場にご臨席賜り,心から感謝申し上げます。今後とも,ご指導ご鞭撻をお願い申し上げます。

さて,3年生の皆さん,皆さんの学年はこの3年間で本当に成長したと思います。今日の晴れ姿を見てもそれがよく分かります。皆さんの学年はよく言えばパワーあふれる元気で明るい学年,悪く言えば何をやらかすかちょっと心配な学年でした。今朝も皆さんの所為でも力でもありませんが,霰か雹か分からないものが降り,グラウンドも一瞬真っ白になりました。内心,私はやってくれたなと思ったのです。

そんな皆さんの成長に賢明教育,大きく言えばカトリック教育が力になってきたならうれしく感じます。皆さんはカトリック学校だから本校を選んだ人は少ないかもしれません。私はカトリック学校とは一人ひとりを大切にする学校であり,一人ひとりの居場所がある学校であり,友だちが寄り添う,先生が寄り添う,神が寄り添うことを実感できる学校だと考えています。そして,もう一つそれに加えるなら,「いのち」の尊さ,人間の尊さを心底から理解するための教育をする学校です。

命の尊さを感じる記事が先月27日の新聞に載っていました。それは昨年の8月に東京の病院で268gで生まれた男の子が,3238gまで成長して先月20日元気に退院したという記事です。翌日の天声人語ではそのことを取り上げ,「米国の大学のまとめでは、300グラム未満で生まれて退院した赤ちゃんは、世界でこれまで23人しかいないという。多くの人の支えと、奇跡に導かれた命である。しかし、こうも思う。奇跡ではない命など、この世にあるだろうか」と書かれていました。「奇跡ではない命など、この世にあるだろうか」,私もまさにそう思いますし,皆さん一人ひとりもそうです。

前任校で「カトリック倫理」という科目を教えていた時,「愛・性・いのちの教育」に取り組んでいました。授業で何グラムで生まれたか尋ねると,4000gを超えている人もいれば学年にひとりは1500g未満の極低出生体重児がいました。皆さんは自分が何グラムで生まれたか知っていますか。小さな小さな体で生まれてきたあなたを,ご両親がいつくしんで今日まで育ててこられました。そして,神様が今日まで守ってくださったのです。そのことを忘れないでほしいです。

もう一つ,いのちについて考えたい話があります。それは「BULLETIN7月号」に書いた昨年6月9日に起こった新幹線殺傷事件です。2人の女性を襲った加害者にひとりで立ち向かい,梅田耕太郎さんが亡くなりました。梅田さんはカトリック学校である栄光学園の出身で,イエズス会学校のモットーである“MEN FOR OTHERS”の精神が根付いていたからそんな行動が取れたという報道もありました。イエスは「友のために自分の命を捨てること,これ以上に大きな愛はない」と教えました。皆さんの人生の中で,友のために自分の命を捨てる場面に遭遇する人は少ないでしょう。しかし,「他者のために」は,賢明学院も同じ精神で教育してきました。皆さんの心に一つでもイエス・キリストの教え,創立者マリー・リヴィエの言葉が残り,人生の道しるべになるならうれしいです。

51期の皆さん,賢明学院中学校で学んだ者として誇りをもって次のステージへ進みなさい。

自分たちが「地の塩,世の光」であることを忘れずに日々過ごしなさい。

皆さんのこれからの生活が愛と希望に溢れ,充実した毎日となることを祈り願って,私の式辞といたします。