優しい心を育むカトリック教育

2022/03/05

通信制課程卒業証書授与式

 

今日は通信制課程の卒業証書授与式が行われました。

先日の式とは打って変わって今日は良い天気です。白梅も青空に映えています。

私の式辞は次の通りです。

 

52名の卒業生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。

保護者の皆さまもお子様のご卒業、おめでとうございます。ここまで成長され賢明学院を巣立っていくお子様の姿をご覧になって感無量の想いではないでしょうか。

さて、卒業生の皆さん、皆さんの高校生活は新型コロナウイルス感染の影響を受けました。2年次生のスタートは全国的に休校となり、スクーリングもできず、自由登校日も学校へ来ることができない日が続きました。何よりも皆さんが楽しみにしていた特別活動も多くが中止や延期になりました。例えば、皆さんが入学した年には4月に実施できたハーベストの丘での交流会が、翌年には7月に昨年は11月までずれこんでしまいました。卒業生を送る会も中止になったことは本当に残念です。そういう中で八重山諸島の研修旅行が実施できたことはよかったです。残念ながら全員が参加できたわけではありませんが、高校生活のハイライトとして一番の想い出にしてくれた人がいると思います。

皆さんは中学生活や高校生活で困難を感じ、この賢明学院通信制課程に来ました。ここでも苦しい思いをした人はいるでしょう。私たちが皆さんを十分に支えられなかった時もあるでしょう。でも、通信制には同じ苦しみや悲しみを経験したからこそ感じる、とても暖かく優しい雰囲気がありました。大切な仲間を、友達を賢明学院で見つけ、この暖かい雰囲気の中でそれぞれが居場所を見つけてくれていたならうれしいです。笑顔で卒業してくれるのなら、本当に大きな喜びです。

そして、3年次生の1年を振り返った時に、全員がいつまでも覚えていることは夏と冬のオリンピックがあったことだと思います。北京オリンピックで皆さんの印象に残った競技は何でしょう。スキージャンプ、スピードスケート、フィギュアスケート、スノーボードなど熱戦が繰り広げられました。メダルが期待され見事に勝ち取った選手、残念ながら届かなかった選手、様々でしたが、勝敗だけがオリンピックではないと感じました。

そんな中で私が一番印象に残ったのは、ノルディック複合団体のレースです。この競技はスキージャンプとクロスカントリースキーを組み合わせて競います。個人の場合もそうですが、スキージャンプの成績順にクロスカントリースキーを出発していきます。そして、団体戦は4人がバトンタッチしていき順位を争います。日本は見事銅メダルを獲得しました。もちろんそれはうれしいことでしたが、私の印象に残ったのはこの競技の過酷さです。バトンタッチしたほとんどの選手がその場に倒れこみ、喘いでいました。鍛えに鍛えたアスリートたちが、限界を超えて滑ったのだと実感しました。途中何度ももう駄目だと思ったかもしれません。でも、自分を信じ、仲間のことを思い、滑り続けたことでしょう。

私や皆さんが肉体的にこんな過酷な経験をすることはないと思います。でも、耐えられない思いをしたことのある人はいるでしょうし、卒業してからもないとは言えません。昨日から北京パラリンピックが始まりました。もしかしてパラリンピックの選手の方が限界や絶望を感じたかもしれません。しかし、競技する姿から私たちは大きな感動や勇気をもらいます。人間はもう駄目だと思ったり絶望を感じても、それを乗り越える力を持っているのだと。

当然、あなたたち一人ひとりもそうです。走り続けられないのだったら、歩けばいい、歩き続けられないなら休めばいい。昨日の誕生月の祈りで髙畠理事長も人間は倒れるのが当たり前だ。問題はどう起き上がるかだと話されました。私もそう思います。大切なのは、ゆっくりでいいから前進していくことです。そして、入学式で紹介した「あしあと」という詩にあったように、キリスト教の学校で学んだ皆さんはイエス・キリストが一緒に歩いてくださっていることを知っています。そのことも忘れず、そして信じてほしいです。

最後になりましたが、卒業記念品として昨年に引き続きシャローム広場の改装をしていただくことになりました。卒業生の皆さんと保護者の皆様に感謝いたします。完成するのはまだ先ですが、その完成した暁には写真を皆さんに送ります。保護者の皆様もご覧ください。

卒業生の皆さん、賢明学院の卒業生として誇りをもって巣立っていきなさい。

自分たちが「地の塩、世の光」であることを忘れずに日々過ごしなさい。

皆さんの人生が愛と希望に溢れ、充実した毎日となることを祈り願って、私の式辞とします。