優しい心を育むカトリック教育

2022/03/17

中学課程修了式

 

昨日、中学課程修了式が行われました。

春の陽気で堺ブランド桜「与謝野晶子」もきれいに咲きました。この桜がこんなに早咲きだったのを驚いています。

私の式辞は次の通りです。

 

54期64名の皆さん、中学課程修了おめでとうございます。

保護者の皆さまもお子様の中学課程修了、おめでとうございます。ここまで成長され義務教育終了という節目を迎えられたお子様の姿をご覧になって感無量の想いではないでしょうか。

さて、3年生の皆さん、皆さんの中学生活の大半は新型コロナウイルス感染の影響を受けました。1年生の3学期末に始まった休校は2年生になっても続き、5月からオンライン授業が始まりました。6月半ばから対面授業が始まりましたが、体育大会も秋麗祭も中止になりました。そんな中で、2年続けてグラウンドで行われた賢明オリンピックは、皆さんが実に生き生きとし、楽しんでいる姿を見ることができました。また、八重山諸島の研修旅行が実施できたことはよかったです。中学生活のハイライトとして多くの人にとって一番の想い出になったのではないでしょうか。南の島でしか見ることができない自然、海の色、人々の生活、また、石垣島に行ったからこそ詳しく知ることができた戦争マラリアの被害など、貴重な体験と学びがあったと思います。

そして、中学3年生の1年を振り返った時に、全員がいつまでも覚えていることは夏と冬のオリンピックがあったことだと思います。コロナ禍の影響で東京オリンピックが延期され、同じ年度に北京オリンピックも開催されました。おそらくこんなことは、これからもないでしょう。北京オリンピックで皆さんの印象に残った競技は何でしょう。スキージャンプ、スピードスケート、フィギュアスケート、スノーボードなど熱戦が繰り広げられました。メダルが期待され見事に勝ち取った選手、残念ながら届かなかった選手、様々でしたが、勝敗だけがオリンピックではないと感じました。

そんな中で私が一番印象に残ったのは、ノルディック複合団体のレースです。この競技はスキージャンプとクロスカントリースキーを組み合わせて競います。個人の場合もそうですが、スキージャンプの成績順にクロスカントリースキーを出発していきます。そして、団体戦は4人がバトンタッチしていき順位を争います。日本は見事銅メダルを獲得しました。もちろんそれはうれしいことでしたが、私の印象に残ったのはこの競技の過酷さです。バトンタッチしたほとんどの選手がその場に倒れこみ、喘いでいました。鍛えに鍛えたアスリートたちが、限界を超えて滑ったのだと実感しました。途中何度ももう駄目だと思ったかもしれません。でも、自分を信じ、仲間のことを思い、滑り続けたことでしょう

私や皆さんが肉体的にこんな過酷な経験をすることはないと思います。でも、耐えられない思いをしたことのある人はいるでしょうし、今後もないとは言えません。13日に閉幕した北京パラリンピックも熱戦に沸きました。でも、もしかしてパラリンピックの選手の方が限界や絶望を感じたかもしれません。しかし、競技する姿から私たちは大きな感動や勇気をもらいました。人間はもう駄目だと思ったり、絶望を感じてもそれを乗り越える力を持っているのだと。当然、あなたたち一人ひとりもそうです。走り続けられないのだったら、歩けばいい、歩き続けられないなら休めばいい。倒れたっていい。でも、そこから立ち上がってほしいです。大切なのは、ゆっくりでいいから前進していくことです。

54期の皆さん、賢明学院中学校で学んだ者として誇りをもって次のステージへ進みなさい。

自分たちが「地の塩、世の光」であることを忘れずに日々過ごしなさい。

皆さんのこれからの生活が愛と希望に溢れ、充実した毎日となることを祈り願って、私の式辞とします。