優しい心を育むカトリック教育

2017/03/16

中学課程修了式 式辞

49期88名の皆さん,中学課程修了おめでとうございます。

保護者の皆様もお子様の中学課程修了,おめでとうございます。ここまで成長され義務教育終了という節目を迎えられたお子様の姿をご覧になって感無量の想いではないでしょうか。

また,ご来賓として,霞ヶ丘自治会会長冨士松様,久保会長をはじめ奉献会役員の皆様,3年生2年生の理事の皆様、この喜びの場にご臨席賜り,心から感謝申し上げます。今後とも,ご指導ご鞭撻をお願い申し上げます。

さて,中学3年生の皆さん、私は1年生のHR合宿,2年生の台湾語学研修,3年生のオーストラリア語学研修と宿泊行事を毎年引率しました。HR合宿ではいかだ体験で寒さに震えたのを覚えています。台湾では達人女子中学校と交流しましたが,同世代の台湾の生徒たちが英語を自由に操るのを皆さんが驚き,刺激を受けたことを記憶しています。

そして,先月のオーストラリア研修のことは鮮明に思い出すことができます。皆さんのパワフルな行動,輝く笑顔,助け合う姿が今も心に焼き付いています。マンガリーフォールズという世界自然遺産の中で,日本では体験できない様々なアクティビティにチャレンジしたことや,珊瑚礁の島グリーンアイランドは生涯忘れられない想い出になったことでしょう。

これらは賢明学院中学校に入学しなければ経験できなかったことです。これらの想い出をいつまでも大切にしてほしいですが,それと共にこの学校に来なければ知ることがなかったかもしれない価値観を大切にしてほしいと願います。

それはbeingdoingの価値観です。学校も社会もdoingの価値観で評価されますし,それは間違っていません。どれだけ勉強したか,どんな点数を取ったか,クラブ活動を頑張ったか,試合の結果はどうだったか,すべて自分のdoing,したことに対して評価されるのです。

義務教育を終えた皆さんはこれから益々自主・自立・自律の精神で,賢明学院のモットーである“THE BEST”の姿勢で何事にも取り組んでいかなければなりません。最上を目指して最善の努力をする,これはどの進路に進もうが忘れずにいてほしい生き方の姿勢です。

ところがこのdoingの価値観と共に,賢明学院というカトリック学校で学んだ皆さんはbeingの価値観を忘れないでほしいのです。これは,いること,存在することに価値があるという考えです。言葉を変えると,何の役にも立っていない,必要とされていない人であっても,その人はかけがえのない存在だということを心の底から分かってほしいのです。

一番わかりやすいのは赤ちゃんです。赤ちゃんは成果と呼べるdoingは何もできません。でも,その存在は周りの人を笑顔にするし,温かい想いにします。

旧約聖書の創世記にはこのbeingの価値観について,私たち一人ひとりが神から造られ,神の最高傑作であると書かれています。あなたの周りにいる一人ひとりは神の最高傑作です。失敗作は一人もいません。

そして,私はイエス・キリストが,このbeing の価値観,つまり一人ひとりの人間がいかに尊いかを深く理解し実感し,それに基づいて行動した人だと思います。イエスは当時のユダヤ社会で見捨てられた人,不必要だと思われている人,罪人として救われることがないとされていた人たちに,いつも寄り添いました。それはdoing の価値観と共に,being の価値観を大切にする人の見本と言えるでしょう。

きっと皆さんの長い人生の中で,doing の価値観だけで生きてしまうことがあるかもしれません。でも,その時に賢明学院中学校で学んだbeing の価値観を思い出してほしいのです。イエス・キリストがそうであったように,創立者マリー・リヴィエがそうであったように,弱い側の人たちに寄り添える人間になってほしいと願います。

49期の皆さん,賢明学院中学校で学んだ者として誇りをもって次のステージへ進みなさい。

自分たちが「地の塩,世の光」であることを忘れずに日々過ごしなさい。

皆さんのこれからの生活が愛と希望に溢れ,充実した毎日となることを祈り願って,私の式辞といたします。

 

本日,中学課程修了式が行われました。本校は中高一貫校ですので,中学は卒業式ではなく課程修了式です。

本当にいい仲間と言える中学3年生でした。

ほとんどの生徒が内部進学しますが,名残りを惜しんでいる生徒の声が校長室にも聞こえてきます。