優しい心を育むカトリック教育

2019/02/28

全日制課程卒業証書授与式 式辞

48期228名の皆さん,ご卒業おめでとうございます。

保護者の皆さまもお子様のご卒業,おめでとうございます。ここまで成長され賢明学院を巣立っていくお子様の姿をご覧になって感無量の想いではないでしょうか。

また,ご来賓として,霞ヶ丘自治会長久保様,大学,専門学校,中学校,進学塾の先生方,長谷川会長をはじめ奉献会役員の皆様,3年生2年生の理事の皆様、奉献OB会,リヴィエ会代表の皆様,卒業生を送るこの喜びの場にご臨席賜り,心から感謝申し上げます。今後とも,ご指導ご鞭撻をお願い申し上げます。

さて,卒業生の皆さん、一昨日私は卒業講話として1時間話しました。それは卒業する皆さんへの贈る言葉でした。

その中で,カトリック学校とはどういう学校かを最初に説明しました。今日はその定義を一つ加えたいと思います。それは「いのち」の尊さ,人間の尊さを心底から理解するための教育をする学校だということです。

命の尊さを感じる記事が昨日の新聞に載っていました。それは昨年の8月に東京の病院で268gで生まれた男の子が,3238gまで成長して今月20日元気に退院したという記事です。今日の天声人語ではそのことを取り上げ,「米国の大学のまとめでは、300グラム未満で生まれて退院した赤ちゃんは、世界でこれまで23人しかいないという。多くの人の支えと、奇跡に導かれた命である。しかし、こうも思う。奇跡ではない命など、この世にあるだろうか」と書かれていました。私もまさにそう思いました。皆さん一人ひとりもそうですし,一昨日話したように皆さん一人ひとりは「神の最高傑作」です。

前任校で「カトリック倫理」という科目を教えていた時,「愛・性・いのちの教育」に取り組んでいました。授業で何グラムで生まれたか尋ねると,4000gを超えている人もいれば学年にひとりは1500g未満の極低出生体重児がいました。皆さんは自分が何グラムで生まれたか知っていますか。小さな小さな体で生まれてきたあなたを,ご両親がいつくしんで今日まで育ててこられました。そして,神様が今日まで守ってくださったのです。そのことを卒業しても忘れないでほしいです。

もう一つ,いのちについて考えたい話があります。それは「BULLETIN7月号」に書いた昨年6月9日に起こった新幹線殺傷事件です。2人の女性を襲った加害者にひとりで立ち向かい,梅田耕太郎さんが亡くなりました。梅田さんはカトリック学校である栄光学園の出身で,イエズス会学校のモットーである“MEN FOR OTHERS”の精神が根付いていたからそんな行動が取れたという報道もありました。

イエスは「友のために自分の命を捨てること,これ以上に大きな愛はない」と教えました。皆さんの人生の中で,友のために自分の命を捨てる場面に遭遇する人はすくないでしょう。しかし,「他者のために」は,賢明学院も同じ精神で教育してきました。これも卒業講話で話しましたが,神の似姿として造られた人間の一番神に似ている点は,「奉仕すること」「奉仕することに喜びを感じること」です。今,世界が自分を自分たちを第一に考える流れになっています。その中で,イエスの生き方に倣うことは難しいかもしれません。しかし,自分が損をすることがあってもそれを損とせず,喜んで相手のために奉仕する人間になってほしいと願います。

48期の卒業生の皆さん,賢明学院の卒業生として誇りをもって巣立っていきなさい。

母校のことを知りたいのなら,時々学校のHPを覗いてください。私も校長ブログを書いています。

自分たちが「地の塩,世の光」であることを忘れずに日々過ごしなさい。

皆さんの人生が愛と希望に溢れ,充実した毎日となることを祈り願って,私の式辞といたします。