優しい心を育むカトリック教育

2018/08/30

宗教科交換授業

 

2学期の授業が始まって4日目,生徒たちも学習のリズムを取り戻しています。

そんな中,今日は宗教科の交換授業が高校3年生の4クラスで行われました。

8月7日の校長ブログに書きましたが,カトリック学校で行われている宗教の授業は週1時間,そのためどの学校も宗教科教員は少数で自校での研鑽は難しいものがあります。

私が現役で宗教を教えていた時代から,宗教科の教員が他校へ行って教える交換授業の話はありましたが中々実現しませんでした。

それが一昨年,本校の石黒先生が兵庫県のカトリック学校である仁川学院で授業をする機会を得ました。

そして今回,仁川学院の中村崇史先生が来てくださり,本校で授業をしてくださいました。

 

内容は中村先生が仁川の高校3年生に実際行っている「愛とは?」がテーマです。

最初に,実話である韓国のイ・チソンさんが大学生の時,交通事故で全身の55%に重度の火傷を負った話が紹介されました。

顔にも火傷を負い,子ども好きで将来教師を夢見ていた彼女は,子どもから「怪物」と言われ深く傷つき絶望の淵に落とされるのです。

イ・チソンさんの話を終えて,中村先生はこんな質問をしました。

「あなたの婚約者がもし,全身に大火傷を負ったら,あなたは婚約を破棄しますか?」

この質問をまず自分で考え,グル-プで分かち合います。そして,グループとしての意見をまとめます。

その発表のあとプリントが配られ,「私たちが『人を愛する』と言う時,実はその人の『条件』(=容姿・地位・学歴など)を求める傾向にないか」と問いかけられました。

「しかし,それらの条件は変わることも失うこともある。そうなったら愛も失われるのか」と問いかけられ,エロースの愛とアガペーの愛の説明がありました。

求める愛,奪う愛である「エロース」と,与える愛,無条件の愛である「アガペー」。

 

もう一度,チソンさんの話が紹介されました。

チソンさんの美貌に惹かれて言い寄った男たちは去って行きました。

しかし,彼女は絶望のどん底から立ち直り,今では希望に満ち,前向きに自分の体験を伝える活動をしています。

彼女に「元の顔に戻れるとしたら戻りたいですか」と質問する人がいました。

それに対して彼女はこう答えました。

「私は,以前の容姿に戻ることを望みません。何故なら,本当の愛を知ったからです」

彼女が事故に遭う前は外見への愛。それを失った時,それでも親身になる家族や神様がいて,多くの感謝するものが自らの前にあることを知ったのです。

つまり,外面的でも条件付きでもない「真の愛」に気付くことができました。