優しい心を育むカトリック教育

2020/02/26

日独シンポジウム

 

先週の土曜日に大阪樟蔭女子大学で開かれた「ドイツと日本における倫理・道徳教育の展開」というシンポジウムに,コメンテーターとして参加しました。

最初,コメンテーターの依頼を受けた時に、私は道徳教育の専門家でもないのでと固辞しました。しかしながら、送られてきた『ドイツの道徳教科書』を見ると実によく考えられており、自分の勉強になると思い最終的に引き受けることになりました。

当日は11時から講師陣による打ち合わせがありましたが、教科書の編著者であるローランド・ヴォルフガング・ヘンケ先生をはじめ,もう一人の講演者である上智大学の寺田俊郎先生、通訳のお二人、そして主催者である大阪樟蔭女子大学の濵谷佳奈先生もドイツ語が堪能で異空間にいるような感じでした。

参加者は40名程度と少なかっですが、3分の2が小中高関係者、残りが大学の先生です。

ヘンケ先生の講演はドイツの「実践哲学科」の授業に関してでしたが、この科目は伝統的に行われていたキリスト教に基づく「宗教」の授業を良心的理由で拒否する児童生徒のために作られたそうで、多元的社会に向けての実践が日本の教育と比べて進んでおり刺激的な内容でした。

寺田先生は「哲学対話」について話されましたが、最近カトリック校の宗教の先生も取り組む人が増えています。

私も夏に開催される「宗教・倫理教育ワークショップ」で毎年体験していますが、「最終的な答を誰も知っていない」テーマを言葉でもって深めていく対話は子どもたちも楽しみながらできると思いました。

しかし、寺田先生も「理屈を言うな」という「問い」を封じる文化を持つ日本社会で浸透させる困難さも語られました。

私のコメントに与えられて時間は20分だけでしたので、お二人の講演を取り上げながら特に寺田先生のお話がヘンケ先生の講演を理解する上でも大変役に立ったことを話しました。

正直、内容に自信はありませんでしたが、濵谷先生からは上手くまとめていただきありがとうございましたと感謝され、ヘンケ先生からも同じことを言われベートーヴェンのペンケースまでいただいたので、何とか役目は果たせたかと思います。