優しい心を育むカトリック教育

2018/03/05

通信制課程卒業証書授与式 式辞

昨日,通信制課程の卒業証書授与式があり,6名の生徒が巣立って行きました。

通信制らしいアットホームな雰囲気に包まれた式で,感動的でした。

式の様子は通信制のホームページをご覧いただくとして,このブログには式辞を載せておきます。

⇒通信制課程卒業証書授与式①

⇒通信制課程卒業証書授与式②

 

6名の卒業生の皆さん,ご卒業おめでとうございます。

保護者の皆様もお子様のご卒業,おめでとうございます。ここまで成長され賢明学院を巣立っていくお子様の姿をご覧になって感無量の想いではないでしょうか。

また,ご来賓として,霞ヶ丘自治会長富士松様,恩師でもありますアサンプション国際小学校副校長山本先生,奉献会の長谷川会長様,木村常任理事様,奉献OB会の宮本会長様,卒業生を送るこの喜びの場にご臨席賜り,心から感謝申し上げます。今後とも,ご指導ご鞭撻をお願い申し上げます。

さて,卒業生の皆さん、あなたたちは賢明学院高等学校通信制課程の2回目の卒業生です。

一昨年4月に産声を上げた通信制は順調に生徒数も増え,現在60名を超える生徒数になりました。

皆さんは全日制課程で高校生活を続けるのが困難に感じ,通信制課程に転籍・転入してきました。

同じ苦しみや悲しみを経験したからこそ,通信制にはとても暖かい優しい雰囲気がありました。

私は通信制を始めて本当によかったと思ったことは,皆さんの表情がどんどん明るくなり,生気がみなぎってくることです。

そして,学年を超えて皆が仲良くなっていくこともうれしかったです。卒業生の6名はその中でお兄さん,お姉さんとしての働きをしてくれたと思っています。

この1年学習と共に,特別活動には様々な想い出があるでしょう。全員が揃うということは難しかったかもしれませんが,想い出を共有できる仲間がいたことは忘れないでほしいです。

今年は平昌冬季オリンピックが開かれました。オリンピックをテレビで観戦し,応援した人も多いのではないでしょうか。

特に今回はメダルラッシュに日本中が沸き立ちました。

先日発行されたBULLETINにもオリンピックのことを書きました。そこに書いたメッセージをすでに読んでくれた人もいるかもしれませんが,今日はオリンピックに触れながら別の話をします。

メダリストの活躍が私たちに大きな感動を与えるのは,その奥に計り知れない努力があることを私たちも知っているからです。

努力なしでメダリストになった人はいません。才能だけでメダリストになった人もいません。

そして,その努力を自分や自分たちに重ね合わせることによって,より大きな拍手を送りたい気持ちになります。

皆さんにもこれは頑張りましたと言えることがあるでしょうし,これからの人生でもそう言えるものがきっとできるでしょう。

この結果だけではなく,その背景を見る力,そのプロセスを想像する力を持つことはカトリック教育の一つの柱だと考えています。

皆さんはこの学校でキリスト教を学ぶ機会がありました。

皆さんの心に一つでもイエス・キリストの教え,創立者マリー・リヴィエの言葉が残り,それが人生の道しるべになるならうれしいです。

それとともに今日私は,旧約聖書創世記に書かれている内容を取り上げたいと思います。

それは人間が神に似せて作られたということ,人間だけが神の似姿だということです。

何が神に似ているのでしょうか。いろんな答えがあるでしょう。例えば,知性,理性,豊かな感情,自由意志,そして愛する心。

先日の卒業感謝ミサで林神父は「愛は努力だ」とおっしゃいました。愛は好き嫌いの感情ではなく,努力して相手のために尽くすことだと。それも忘れないでほしいです。

そして今日私は,神に似ている点として,先ほど言った背景を見る力を持っていることを強調したいです。

私たち人間の社会は結果だけを見ることが多いです。成績や実績,業績,合格,不合格,もちろんそれを否定する気はありません。

良い結果を出すためにTHE BEST,最善の努力をすることは必要です。

しかし,背景を見ることのできる人間になってほしい,プロセスを想像できる人間になってほしいと願います。

何故なら人間は神に似せて作られたからです。神はすべてをご存知の方,背景やプロセスもすべてご覧になっています。

まず,自分の歩み,プロセスを評価できる人間になりなさい。結果は大切にしてほしい。しかし,それだけにとらわれてほしくないのです。

そして,隣人の背景,プロセスが見える人間になってください。

今日,私たちが胸につけているこの美しい花が,私たちの手に届くまでにどれだけの人の手に寄ったかを考えるだけでも見えるものがあります。

卒業生の皆さん,賢明学院の卒業生として誇りをもって巣立っていきなさい。

母校のことを知りたいのなら時々学校のHPを覗いてください。私も校長ブログを書いています。

自分たちが「地の塩,世の光」であることを忘れずに日々過ごしなさい。

皆さんの人生が愛と希望に溢れ,充実した毎日となることを祈り願って,私の式辞とします。