優しい心を育むカトリック教育

2021/02/28

通信制課程卒業証書授与式

本日,通信制課程卒業証書授与式が行われました。

新型コロナウイルス感染防止のために,通信制としては5回目にして初めてアリーナで式をしました。おかげで在校生も出席でき,通信制らしいアットホームな式になりました。

私の式辞は次の通りです。

 

38名の卒業生の皆さん,ご卒業おめでとうございます。保護者の皆さまもお子様のご卒業,おめでとうございます。ここまで成長され賢明学院を巣立っていくお子様の姿をご覧になって感無量の想いではないでしょうか。

さて,卒業生の皆さん、あなたたちは賢明学院高等学校通信制課程の5回目の卒業生です。最初の卒業生は3名でしたから10倍以上の生徒が巣立って行きます。皆さんは中学生活や高校生活で困難を感じ,この賢明学院通信制課程に来たことでしょう。同じ苦しみや悲しみを経験したからこそ,通信制にはとても暖かい優しい雰囲気がありました。賢明に来た時にはまだぎこちない思いがあったかもしれませんが,この暖かい雰囲気の中でそれぞれが居場所を見つけてくれたならうれしいです。昨日,皆さんがグランドで遊んでいる姿を教室の窓から眺めていて,本当に楽しそうで私まで心がウキウキしましたし,いい仲間と出会ってくれたんだなあと感じました。

皆さんはカトリック学校だから本校を選んだ人は少ないかもしれませんが,全国でカトリックの通信制は3校しかありません。そんな学校で高校生活を送りました。せっかくカトリック学校へ来てキリスト教のことを学んだのですから,イエス・キリストの生き方を人生の道しるべにしてほしいと願っています。イエス・キリストは「歴史上,人間の尊厳を最も深く理解し実感し,それに基づいて行動した人」です。私もこの人間の尊厳,いのちの尊さを伝えたい,と言う思いで今まで皆さんに話してきました。

今,私たちはいのちの問題と直面しています。それは新型コロナウイルスの感染です。コロナと戦っている感染者の人たちが沢山ますし,いのちの瀬戸際にいる重症患者の人たちもいます。そして,その人たちの治療のために限界を超えながら働いてくださっている医療従事者の方々がいます。

旧約聖書創世記には人間は神に似せて造られたと書いています。神の似姿として造られた人間が一番神に似ているところは「奉仕する」ことです。人間は奉仕することによって本当の幸せ,喜びを感じるのです。今はまだそう思えない人もいるかもしれませんし,先ほど話した医療従事者の方々にはこの言葉を超えてただただ感謝の思いしかありませんが,どうぞ「奉仕する」ことを校訓としている賢明学院で学んだことを忘れないでほしいです。

今日はもう一つ話したいことがあります。皆さんは関心がないかもしれませんが,ちょうど今びわ湖毎日マラソンが行われています。76回を数える日本最古のマラソン大会も今年で最後となるので,新聞やテレビで話題になっています。現在のコースは大津市内しか走りませんが,1968年から20年間草津市もコースに入っており私の家のすぐ近くを走っていました。この大会は日本のトップランナーが参加しただけでなく,アベベとショーターというオリンピック金メダリストも走って優勝した歴史ある大会です。私も何度か沿道で応援しました。その時驚いたのはランナーたちが私の全力疾走に近いスピードで走っていたことです。

人間というのは何と素晴らしい能力と可能性を持っているのだろうと驚嘆しました。これは決して一部の人間だけがそうではありません。皆さんにも秘められた素晴らしい能力や可能性があるのです。いやいや自分にはそんなものがないという人がいるなら,私はこう答えたいです。能力がなかったとしてもあなたという「存在」そのものがかけがえのない尊厳を持っているのだと。イエス・キリストはそのことを命を賭けて私たちに伝えました。

最後になりましたが,卒業記念品としてシャローム広場の改装をしていただくことになりました。卒業生の皆さんと保護者の皆様に感謝いたします。完成するのはまだ先ですが,その完成予想図をすでに生徒たちに渡しています。保護者の皆様もご覧ください。

卒業生の皆さん,賢明学院の卒業生として誇りをもって巣立っていきなさい。

母校のことを知りたいのなら,時々学校のHPを覗いてほしいです。私も校長ブログを書いています。

自分たちが「地の塩,世の光」であることを忘れずに日々過ごしなさい。

皆さんの人生が愛と希望に溢れ,充実した毎日となることを祈り願って,私の式辞とします。