優しい心を育むカトリック教育

2019/12/21

2学期終業式

本日,始業式と同じように中高体育館で2学期終業式が行われました。

私は式辞で次のような話をしました。

Facebookに知り合いの神父様のこんな言葉が載っていました。「この同じ時期に耳目を引いた二人のキリスト者。一人は喜びを残して日本から帰国、一人は悲しみをもたらして日本に帰国。対照的な二人の残したメッセージはまったく同じ」。この二人が誰のことか分かると思います。喜びを残して帰国したのは教皇フランシスコ,悲しみをもたらして帰国したのはアフガニスタンのために働かれた中村哲さんです。

一昨日,今年も素晴らしいクリスマスタブローを経験できました。改めて関わってくれたキャスト,スタッフの皆さん,聖歌隊の中学1年生にお礼を言いたいです。ありがとうございました。今日のBULLETINにも書きましたが,午後の部の挨拶でこの二人に10年間国連難民高等弁務官を務めた緒方貞子さんを加えて,三人の共通点を話しました。一つは「上から目線ではない」ということです。人間は自分を偉いと思いたい弱さを誰しも持っています。その気持ちから人を見下すような態度を取ってしまうこともあります。

例えば,カトリック教会も2000年の歴史の中で,残念なことに自分たちだけが正しいという独善的な考えを持ち,自分たちが一段高いところにいると思っていた時代がありました。しかし,20世紀後半から歴代の教皇が教会のそのような姿を改め,教会が犯した過ちを謝罪するようになったのです。教皇フランシスコも教会が裁き手になってはならないといつもおっしゃっています。もう一つ,日本でもその言葉を使われたのですが,教会は野戦病院でなければならないと強調されています。「野戦病院」とは戦争や紛争の地域で負傷者を野外で治療する病院です。つまり教皇は,戦場のように厳しい現実の中で傷つき倒れた人を受け入れ,いやす教会でなければならないと訴えているのです。

今年の2学期もいろいろなことがありました。先ほど挙げたクリスマスタブローと共に大きな行事として秋麗祭があります。この二大行事での皆さんの頑張りは,今日のBULLETINで学年主任の先生方も拍手を送っておられます。コーラスコンクールも年々レベルが上がっていますし,中学生のパフォーマンスはどの学年も「一体感」を感じさせる素晴らしいコーラスでした。これらの行事が皆さんの中学生活,高校生活の忘れがたい想い出になったでしょうし,達成感は自信につながったと思います。

そんな中でとても残念な話を聞きました。それはシャローム広場にいた通信制課程の生徒に,からかいの言葉をかけた人がいるという報告です。軽い気持ちだったかもしれませんし,先に話した上から目線の言葉でなかったかもしれません。しかし,通信制の人たちを見下すような気持で言ったのなら,深く反省してほしいです。今までにも話してきましたが,全日制も通信制も大切な賢明の仲間です。通信制の生徒たちは皆さんより困難を感じて学校へ行けなくなった人もいます。でも,賢明学院で自分の居場所を見つけ,高校生活を頑張ろうとしている人たちです。そう考えると,通信制はもしかして全日制よりも野戦病院かもしれません。

もう一度言います。人間は自分が人より上だと思ってしまう誘惑を皆が持っています。でも,賢明学院で学ぶ皆さんは,教皇フランシスコが苦しむ人悲しむ人に寄り添いたいと願うように,偉大な仕事をしたにもかかわらず偉ぶることなくアフガニスタンの人に親しまれた中村哲さんのように,難民救済のために世界のどこへでも出かけて行き難民の人たちと同じ地点に立った緒方貞子さんのように生きていってほしいと強く願います。

さて,明日から冬休みです。クリスマス,お正月と楽しいことが続きますが,まず受験生の人,頑張りなさい。あなたたちにはクリスマスもお正月もないかもしれませんが,今の頑張りは来春の笑顔につながります。そして,他学年の人も浮かれるだけの休みではなく,新しい年のいいスタートを切ってほしいです。

3学期の始業式に全員の元気な顔を見られることを願っています。

 

 

終業式に続いて,通信制の「誕生月の祈り」と「校長講話」がありました。

誕生月の祈りでは理事長先生がクリスマスのお話をしてくださいました。

校長講話ではBULLETINの11月号12月号に書いた内容を中心に話しました。