優しい心を育むカトリック教育

2020/03/21

2019年度修了式

昨年11月1日のブログで紹介した,堺ブランド桜「与謝野晶子」が初年度から花を咲かせました。

小さな花なので,謳い文句にあるように「濃紅色で情熱的なイメージ」を持っているかは分かりません。

花々が春を告げる今日,「2019年度修了式」が放送で行われました。生徒たちは各教室で放送を聞く形です。

私の40年の教師人生の中で,こんなに長く休校が続くことは初めてです。一堂に会せず放送で式をやったことは,インフルエンザの感染防止のためにしたことがあります。

学校で生徒の声がすることがこんなにうれしいことだと感じながら,日常に戻れないもどかしさも感じました。

私は,次のような話をしました。

 

2019年度の修了式を迎えました。しかし,4月にスタートした時,放送で年度修了式をすることを誰も考えていませんでした。今,日本は世界は新型コロナウイルスの感染で大変な時期です。賢明学院も幼稚園から高校まで休校で,式典だけをやっています。残念ながら皆さんは出席できなかった高校卒業証書授与式,中学課程修了式でこんな話をしました。それは新型コロナウイルスと戦う私たちを励ますことにもなると思います。

ヒトの祖先は森からサバンナへ追い出された弱い群れでした。20万年前に誕生したホモ・サピエンスはネアンデルタール人と同時期に共存していました。それもネアンデルタール人は今までの説を覆して,知性を持ち言語を操り高度な文化を持っていた可能性が高いと言われています。にもかかわらず4万年前に絶滅しました。体力や体格が優っていた彼らが滅び,華奢でひ弱なホモ・サピエンスが生き延びたのは何故でしょうか。その答は「仲間」です。家族単位か10数名のグループでしか生活しなかったネアンデルタール人に比べ,ホモ・サピエンスはもっと大きな集団を作って生活しました。弱いからこそ狩りも協力しなければなりませんでした。この仲間と生きる,仲間と協力することで人類は今まで様々な困難を克服し,危機を乗り越えてきました。過去の人類がそうであったように,新型コロナウイルスの危機を皆で協力して乗り越えましょう。必ず,乗り越えられると私は信じています。

お知らせのプリントにもあるように,中高は3月31日まで臨時休業を続けることを判断しました。皆さんの一日も早く学校へ行きたいという気持ちも分かりますし,保護者の皆様にご負担をかけていることも承知していますが,感染拡大防止に最善を尽くしたいと考えています。

さて,今年も1年が本当に早かったです。4月に希望を胸に入学してきた中学1年生も4月からは後輩ができます。それだけで,お兄さんお姉さんに見えるのが不思議です。皆さんの学年には秋麗祭のコーラスコンクール,クリスマスタブローで素敵な歌声を聴かせてもらいました。中学2年生は中学最高学年になります。中高一貫校で先輩たちがいるので,その意識を持ちにくいでしょうが,この1年に得たものを糧に大きく飛躍してほしいです。中でも台湾英語研修で規律正しい行動がとれたと報告を受けました。それを学校生活でも生かしてください。高校1年生は2年生になれば,学校のいろんな活動の中心になります。一人ひとりが持っている力を発揮して,益々学校を盛り上げていってほしいと願っています。高校2年生は6月に研修旅行へ行きました。フランスへ行って賢明学院のルーツがよく分かったのではないでしょうか。また,カトリック最大の巡礼地ルルドでの経験は生涯の想い出,糧になったと思います。最高学年になる意識はもうできているでしょうし,自分の進路に向けて準備を始めているでしょう。歯を食いしばって頑張りなさい。人生の中で死に物狂いで頑張ったという経験をぜひしてほしいです。

これもコロナウイルスの影響で保護者対象の「年度末報告会」ができませんでした。その時に配布する予定だった学校評価に基づいたPDCAのプリントを配ります。生徒の皆さんにも見てほしいですが,保護者の方にも必ず見せてください。そのプリントでも分かるように,今年はずいぶんとアンケート評価が上がりました。つまり,皆さんがどんどん賢明生らしい賢明生になっているということです。私も本当にうれしいです。

最後に,アメリカから留学していたジェイス君とタクミ君が,コロナウイルス感染防止のために今週急遽帰国しました。二人とも留学を続けたいと願っていただけに残念です。皆さんに「ありがとうございました」と伝えてほしいということでした。

4月,全員が元気に登校できることを,平常の学校生活に戻れることを心から願って私の話は終わります。