優しい心を育むカトリック教育

2020/01/08

3学期始業式

今日から3学期が始まりました。始業式では次のような話をしました。

明けましておめでとうございます。皆さんはどんな冬休みを過ごしましたか。受験生である高3,中3の人は勉強を頑張ったでしょう。クラブで頑張った人も大勢いるでしょう。吹奏楽部,ハンドベル部はクリスマスコンサートを開いて,クリスマスのお祝いを分かち合ってくれました。遠征や練習に頑張った人もいます。クリスマスやお正月のある楽しかった冬休みは終わりました。

3学期の始業式は新年の決意を改めて意識する日だと思っています。おそらく誰も覚えていないと思いますが,昨年3学期始業式で「天才バカボン」と赤塚不二夫の話をしました。今年は「寅さん」と渥美清の話をします。皆さんの中には年末に「男はつらいよ」という映画が,22年ぶりに50作目が封切られたことを知っている人もいるかもしれません。この映画は「フーテンの寅」こと「車寅次郎」を渥美清が演じたもので,同一主人公が長年演じた映画としてギネスブックにも載っています。私は「男はつらいよ」が大好きで,ビデオで全巻持っています。

山田洋次監督は50作目を作るにあたって,この映画を通して若い人たちにこんなメッセージを伝えたいと言っています。「寅のようにはみ出した人間を容認すること,考え方も行動も自由でめちゃくちゃな人間を排除してはいけないということです。今は非常に窮屈な時代です。組織であれ地域であれ,ゆとりがなくなりました。『しょうがないな。目をつぶっておくよ』という人がいなくなった。『困ったやつだな』と言いながらそういう人間を認めるという寛大さが今の時代には大事なんです。」

これだけ聞くと,「寅さん」はどうしようもなく困った人間に思う人もいるかもしれませんがそうではありません。寅さんとよく似た人がいます。誰だと思いますか。それはイエス・キリストです。どこが似ているのでしょうか。まず,寅さんは悲しい顔をしている人を見ると放っておけません。「何か困ったことがあるのかい」と声をかけます。寅さんは人のために働いても,決して見返りを求めません。寅さんは人の幸せを羨ましがりません。一緒に喜びます。「男はつらいよ」という映画は,美人(マドンナ)に惚れた寅さんが最後には振られてしまうパターンの映画ですが(そうでないこともあるのですが,最後には寅さんは去って行きます),人の幸せを第一に考えます。寅さんは世間の常識にとらわれません。いつも自由な発想を持っています。

実は20年ほど前に,寅さんとイエスがよく似ているので「フーテンのイエス論」を書こうと思った時がありました。でも,それを書かない内に,米田彰男神父が『寅さんとイエス』という本を出しました。それを読んだ時に「ヤラレタ」「先を越された」と思いましたが,私と同じように寅さんとイエスを見ていた人がいたのです。寅さんを演じた渥美清は1996年に亡くなりました。そして,このことはあまり知られていませんが,晩年にカトリックの洗礼を受け,葬儀も教会でありました。もしかして,渥美さん自身も寅さんとイエスに共通するものを感じていたのかもしれません。

さて,今年の私の決意は何かというと,やはり健康に気を配ることです。私も66歳になりました。オジイサンです。健康に気を付けて頑張りたいと思っています。もっと具体的に言うと20年ほど言い続けてきましたが,痩せる決意をしています。今年こそ本気です。いつも言いますが,私たちの命も体も健康も才能も神がタダでくださったものです。それをどう使うか,どう大切にするかを問われています。この1年,皆さんもそれを意識して日々を送り,充実した毎日になることを願って式辞とします。