優しい心を育むカトリック教育

2019/02/01

BULLETIN 1月号 「優勝」

2019年最初のBULLETINです。この1年もどうぞよろしくお願いいたします。

今週の全校朝礼では最近話題になったスポーツの話を取り上げました。一つは日本中が感動した大坂なおみ選手の全豪オープンテニスの優勝です。私は全部を見ていたわけではありませんが,ハラハラドキドキしながらテレビで応援していました。最後の勝利を手にした時,思わず膝をついた大坂選手の胸にはいろんな思いが込み上げてきたことでしょう。そして,私がテレビを見ていて一番印象的な姿は,表彰式後の記念撮影です。そのことは少し話題になりましたが,大坂選手が優勝カップを前に置いてちょこんと正座してカメラに収まっている姿です。日本の選手なんだなあという私自身の想いもありましたし,彼女の魅力としてよく取り上げられる謙遜で謙虚な姿でもあったと思います。ランキングが世界トップになっても天狗にならない彼女の姿は,本当に世界中の人たちに好感を与えました。私たちはつい自分が上だと思うとそれが態度に表れてしまいます。でも,彼女はまず,対戦相手に自分のチームに観客に感謝の言葉を述べました。それが口先だけでないと感じるのは,彼女の誠実さと謙虚さでしょう。賢明で学ぶ生徒たちも同じであってほしいです。前号でクリスマスのことに触れて,神である救い主が立派な宮殿ではなく貧しい馬小屋で生まれた意味を書きましたが,それともつながると思います。また,創立者マリー・リヴィエもこんな言葉を残しています。「謙遜は上に立つ人の最も美しい飾りであるべきです。」

もう一つ取り上げたのは,大相撲の玉鷲が優勝した話です。今の中高生は大相撲に関心がないかもしれませんが,私は小学生の頃から見ているので以前にも白鵬のことを本紙に書きました。玉鷲関は34歳2ヶ月という史上2番目の高齢で見事優勝を成し遂げました。横綱大関陣がふがいない中,土俵を盛り上げました。当日の朝,第2子が誕生したことが伝えられると国技館は大いに盛り上がりました。誰も予想しなかったと言えば失礼ですが,10日目までは全勝の白鵬が優勝すると皆が思っていたことでしょう。ところがその後に思わぬ展開が待っていました。この思わぬ展開という点では,玉鷲の角界入りがそうだったと新聞が報じています。東大に留学していたお姉さんを訪ねて日本にやってきたバトジャルガル・ムンフオリギル(玉鷲の本名)さんが,両国の街で鶴竜と出くわし運命が変わったとのこと。生徒たちには,自分の運命を変える人とすでに出会った人もいるかもしれないし,これから出会う人もいるだろう,その出会いを大切にしてほしいと話しました。

そして,スポーツの経験のなかった彼は,シコなどの基本的なけいこを手を抜かずにやってきました。その成果が今回の優勝につながったという話です。勉強にしてもクラブにしても同じです。こんなことやって実りがあるのかと思うことを地道に続ける。それが成功に結び付くことを生徒たちに経験してほしいです。玉鷲の好きなテレビ番組はNHKでやっていた人気ドラマ「おしん」だそうです。「おしん」と言っても今の生徒は知らないでしょうが,耐えること,努力すること,待つことが成功への秘訣であることは,昔も今も変わりません。これからは,来年の東京オリンピックに向けてアスリートの話題も多いでしょう。前にも書きましたが,努力なしに金メダルを取る人はいません。実は誤訳だったと言われている,「天才は99%の努力と1%の才能だ」というエジソンの言葉は好きです。